あこやきもの教室 京都 研修旅行~その①~


着物が好きになって、より京都への旅が好きになった私ですが、
ずっと、お教室の皆さんと一緒に京都を旅する機会が作れたらいいな、と思いながら早数年。
やっと重い腰を上げて、「あこやきもの教室 京都研修旅行」と銘打って、生徒さん数名と秋の京都を満喫してきました。


【初日ーDAY1ー】
京都駅に到着後、国立京都国際会館で開催中の勝山健史 織物展~間~ にお邪魔しました。京都駅からアクセスが良い国際会館。ここも紅葉が美しく、独特な建築のこの会館での勝山さんの個展も、もう何度めかしら?


この日は、勝山さんによるトークショーがあったんです。会場はたくさんのお客様でいっぱい!呉服関係の皆さまも多くいらしていました。冒頭、洛風林 堀江麗子社長からのご挨拶。


洛風林さんは、勝山健史さんの作品を取り扱っておられる会社です。この日の麗子さんの装いは、もちろん着物も帯も勝山健史さんによるもの。着物は、上品なオフホワイトの綺芙織。よく見ると織りによって縞が織り出され表情豊か。光沢もあり美しい、、、。麗子さんにとっても良くお似合いでした。

勝山さんの個展も15年目に突入だそう!素晴らしい!


勝山さん、今日もシュッとしてらした~♪
今回のトークショーでは、長年、勝山さんが長野で手掛ける養蚕について文化庁(東京文化財研究所)が数年にわたり記録した映像を見ながら、勝山さんのこだわりの糸づくりについてお話しくださいました。(勝山さんの養蚕所は国の選定技術者の指定を受けているのです!)


勝山さんの養蚕がスタートしたのは、2002年。以前、私も長野にお邪魔させていただいたことがありますが、その時のことはかつてのブログにも記していますので、ぜひご高覧下さい。
【きもの探訪】勝山健史 糸へのこだわり その①


効率重視の現代の養蚕とは一線を画す勝山さんの養蚕。在来原種の蚕から原種と原種を掛け合わせ日本古来の美しさと強さを持つ蚕を開発。そのために、桑畑の改良から始められました。

桑畑は、山形から九州以南で一ノ瀬という種がほとんどの中、長野では地場の桑にしようと桑の植栽からスタート。ねずみ返しという種の桑を植えているそうです。現在の主流のものに比べて葉が小さいのが特徴。エサとなる葉の種類を変えた途端に糸の節がなくなり、繊細になったそうです。


古来の方法で、農薬も使わず天然で蚕を育て始めたら、さらに劇的に糸が変わってきたそう!
勝山さんの養蚕所では、秋蚕と春蚕と年に2回養蚕をしているため、1年のうち、7か月は農業(桑畑)、その間スタッフの女性たちの手はボロボロになるそうです。しかし、その後の糸繰の段になると、蚕のセリシンという成分のせいで、手がツヤツヤすべすべになるんだそうですよ!


勝山さんの養蚕所では、約15万頭の蚕を飼われています。繭になったものは繭の毛羽とりをした後、勝山さんの代名詞 塩蔵をします。塩蔵は中国の古書(BC538年頃)にも記載がある手法だそうです。


塩漬けにした繭を風乾させて、糸を引きます。糸を引く時の生糸はキラキラして、それはそれは美しいそうです。これだけの工程を経て作られた糸、途方もなくご苦労がある中で製作された帯や着物と思うと、なお、愛おしく大切に着なければと思うのでした。

講演後、勝山さんと。後ろに見える比叡山の美しいこと!


私のこの日の装いは、勝山健史さんのきものと帯で。着物は深いグリーンが印象的な綺芙織に、帯は蝶牡丹紋の名古屋帯です。


帯は薄いグリーンと薄い黄緑が市松模様に織り分けられているんです。着物も帯もとても軽いんですよ。


養蚕についてや、勝山さんのものづくりに触れ、ご一緒した皆さまもすごく刺激を受けたとおっしゃっていました。これだけ手がかかった美しいきものや帯、モノづくりの背景にある物語を知り、作り手の皆さんへのリスペクト、着られる喜びを、お一人お一人感じられたのではないでしょうか。

素晴らしい学びの時間、勝山さん、麗子さん、ありがとうございました。


つづく

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