ゆかたの三勝さんへ Sankatsu Yukata
人形町にあるゆかたの三勝さんへ、トークイベントが開催されるということでお邪魔してきました。
三勝さんは128年続くゆかたづくりに携わる製造卸さんで、かつて長板中形の人間国宝だった清水幸太郎を抱えていた会社さんです。今回のトークイベントは、昨年亡くなられた清水幸太郎さんの三男で三勝さんで長くご活躍されていた清水敬三郎氏の追悼記念として、三勝の天野半七社長と東京和晒の顧問 菅野武さんが、敬三郎さん作品などを語るアットホームな会となりました。
こちら左が、三勝の天野社長、右が菅野さんです。
お二人が今持たれているのは、長板中形と呼ばれる技法で作られた藍染の浴衣です。三勝さんと東京和晒さんはゆかたづくりで長年ご一緒している会社さんだそうです。
長板中形というのは、型付けに長板を使う藍染の木綿浴衣のことで、江戸時代から伝わる伝統技法で染め、江戸中形、長板本染中形ともいいます。
下記は、白生地に防染糊をひいたものです。
黄色が糊部分です。
長板中形の特筆すべき点は、その緻密な型染の技術。表面と裏面を同じ型紙を寸分たがわずにまるで染が通っているかのようにぴたっと染め上げる技術が非常に難しく、清水幸太郎はその技術の高さで人間国宝になったと言われています。
しかし、近年では、表と裏をあえて別の模様を型染した両面異模様といういタイプが人気なのだそう。面白い現象ですね。
型染に使用する伊勢型紙を三勝さんは1万点以上もお持ちなのだそう。かつては、和紙を貼り合わせ柿渋でコーティングした型紙を彫って作っていた型紙も、今は丈夫な樹脂タイプが主流で、かつての伊勢型紙は図柄を参考にする貴重な資料になっているのだとか。
一方、今度は注染のお話。
注染は、三勝さんのご専門。故・清水敬三郎さんの作品もたくさん見せていただきました。写真の中央にある反物は注染という技法で染められている浴衣地です。注ぐ染める、と書くように、本当にじょうろのようなもので染料を反物に注いで染めていきます。
2016年に宇都宮の注染工場に見学に行った時のブログを良かったらお読みください。注染の詳細が良くお分かりいただけるかと思います。
→注染工場見学へ~その②~(その⑤まで続きます)
注染は、じょうろで染めることからも想像がつくかと思いますが、染のグラデーションが特徴です。下記の反物は、注染で京都の街並みを染め出したものだそうですが、注染の性格からいうとこうした建物など直線ではっきりした線が求められるものは不向きなのだそう。
こちらも清水敬三郎の遺作で、大変難しい技術で作られたものだそうです。空の青のグラデーションの自然さ、情緒的な部分は注染ならではですね!
見てください、この浴衣の数!注染だけでも300反とおっしゃっていました。
これだって、ほんの一部!なかなかデパートなどでは見つけることが出来ない珍しい柄もたくさんありました。
こちら「モンパリゆかた」。
かつて、宝塚で「モン・パリ~我が巴里よ!~」というレビューが昭和2年に初演されました。人気を博したこの演目にちなみ、昭和にデザインされた浴衣だそうです。それが復刻デザインとして再び染められたのだそう!めちゃくちゃ可愛いですよね!いいデザイン!
私は今回、こちらの注染浴衣に一目ぼれ。↓
写真では見えないのですが、鳥が描かれています。可愛い。
楽しいトークを聞かせてくださった東京和晒の菅井さんと。御年82歳!
お元気!清水敬三郎さんと並ぶ、ゆかたの生き字引!
もちろんお顔のマスクも東京和晒製。晒のさらっとした感じがとても良さそう!
ゆかたと一言で言えど、どういった白生地を選ぶかで表情がことなります。東京和晒さんは、綿や麻を中心とした様々な白生地を扱っていらっしゃる会社さんです。
そして!今回のイベントを仕切り、楽しいトークをしてくださった三勝の4代目 天野半七社長!
このイベント全体がアットホームで終止和やかに楽しい雰囲気だったのは、彼女の持つパワーだと思います!素晴らしく楽しい会でした!
最後に、三勝の会長からのご挨拶も素敵でした。
今回はたくさんの学びと新たなご縁を頂き、楽しかったです。
天野社長、本当にありがとうございました!
さて、この日の私の装いは、
結城紬に築城則子さんの小倉織りの帯をして。小倉織りは木綿です。三勝さんに行くから、というわけではないですが、縞のすっきりした感じが今日のイベントにはぴったりだったかな、と思っています♪
あこや
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