青山八木さんレクチャー第二回「きもの、初めの一歩」へ その② A lecture “Kimono A to Z” by Aoyamayagi
青山八木さんの講義の続きです。
■盛夏の装い
単衣の時期が終わっていよいよ7月–8月。暑い暑い盛夏に突入です。盛夏は思い切り涼感を出した装いに切り替わります。
こちらは、蚊絣の夏大島。八木さん曰く、どんな帯でも合ってしまう万能な一枚。とはいえ、夏大島も織れるところが少なくなって来てこうした昔からの定番柄も今や貴重なんだとか。
夏大島に、京都の長艸繍工房の美しい刺繍帯を合わせて。こちらは芙蓉です。色目もシックなコーディネートですが、いかにも涼しげ。
こちらは、越後上布の八寸帯を夏大島に合わせました。
着物も帯もシンプルなので、個性ある帯締めで全体を締めます。帯揚げは麻絽。(かな?)盛夏になると「麻」という素材が着物でも出てきます。夏大島は絹ですが、より涼感が強く出る素材です。
こちらの藤色のお着物は、絽の江戸小紋です。
江戸小紋に、北村武資先生の羅の帯を合わせて。素敵♪
単衣や薄物は裏地がつきませんので、文様が裏まで通っているものが良いのですが、江戸小紋は文様がついているのが表だけなので、裏には色を軽く引いてもらうと良い、というお話でした。
こちらは帯違い。
がらりと印象が変わりますね!この帯は勝山健史さん夏帯です。軽やかですね〜!
さて、こちらの紺地のきものは、重要無形文化財の越後上布の着尺です!きゃ〜。市場価格、うん百万円の代物です。
越後上布のような素材には、長襦袢も麻に変えます。着物の表地と襦袢地の相性を考える事が大切です。この時、半衿も当然麻を用います。
こちらのコーディネートでは、芭蕉布の九寸帯を合わせました。
芭蕉布は、先日もこのブログで紹介しましたが、沖縄の北部にある喜如嘉という村で織られる糸芭蕉(バナナの一種)の茎の繊維から抽出したいとで織られた自然布です。美しいコーディネートですね。
こちらも帯も着物もシンプルですから、帯締には個性あるものを。中央のものは鯨柄といって、黒い方が上になる様に締めるんだそうです。カッコいいですね!
こうした芭蕉布や越後上布という帯は、原則織のきものに合わせるのが望ましい組み合せだそうで、どんなに値段が高くてもカジュアルな帯なのでそこは踏まえておいた方がいいですね!
■羽織ものについて
皆さんは、羽織は着られますか?昔に比べて羽織を来ている女性が少なくなった様にも思いますが、羽織にはきちんと役割があり、ルールを守って着れば便利なアイテムです。(という私もあまり好んでは着ないのですが、、、)
羽織は、原則、紬と小紋の上にしか着ないもの。
室内でも脱ぐ必要がないので、スーツで言うジャケットみたいな感覚でしょうか。その昔、お母さんは黒羽織をこぞって着ていた時代があったと聞きますが、今はそういう風景はめっきり見ないですよね。
羽織の他に上物の代表格と言えば、道行です。
染物の小紋生地等を使って誂えるのが通常で、どんな着物の上にも着られるのでおすすめだそうです。誂える際は、仮縫いが必須なので、作られる場合は呉服屋さんにお願いして下さい。
きもの衿コートというものもあります。
この様に衿の形がきものの様になっているコートです。道行よりカジュアルなので、このように紬地で作ると良いそうです。紬の装いの際に着用したり、防寒用として着ます。カシミア地で作る場合もあるそうです。八木さんのところは、ロロ・ピアーナの生地でコートが誂えますよ!
きもの衿コートは衽(おくみ)があるのが特徴で、きもの衿コートより更にカジュアルになる道中着は、衽がなく、裾すぼまりになります。着た時の収まり、着脱のしやすさを考えると、道行の方が便利でおススメだそうです。
次に、雨ゴートです。
雨ゴートにも、夏用と冬用があります。きものをすっぽりと包むので、チリ除け代わりにもなって便利です。八木さんのところでは、袷用の雨ゴートにはしじら織りを使用されています。
なんと、最近、勝山さんに雨ゴート用の生地を制作してもらったという事で、雨ゴート地の新作がお店に行くと見られます!
以上、ほんの一部でしたが、講義内容メモのご紹介でした。
今回のテーマである「季節の装い」は、きもの好きの常なる悩み。とても勉強になりました。八木さん、ありがとうございました。
次回は、最終回!テーマはコーディネート。すごく楽しみです!またレポートしますー!
あこや
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