青山八木☆秋講座☆「きもの、初めの一歩」第1回 ~その①~an Aoyamayagi lecture

春に玉川高島屋さんのコミュニティクラブたまがわで開催された青山八木さんによるきもの講座、秋にも開催されることが決まり、秋講座の第1回が先日開講され行ってきました。

青山八木 店主 八木健司さん

八木さんによるきもの講座の特徴は、なんといってもお店からたくさんの反物や帯、小物を教室に持ち込んでくださり、リアルな教材を使っての講義、というところが人気の秘密ではないでしょうか。

今期は、季節も秋に移り変わりましたので袷のコーディネートなどが中心のお話。11月に予定されている第2回では、自宅に眠る大島紬や絣柄のきものを復活させるコーディネート方法だそうで、今からとても楽しみです。

第1回目は、袷のコーディネートの実例講義。ブログではご紹介できませんが、眼福もののきものや帯も見せていただきました。さて、一部ですが、講義メモをご紹介します。

■グレー 織り3種 コーディネートあれこれ

まず見せて下さったのは袷のグレーのきもの3枚。10月以降は、袷と呼ばれるきものであれば、何を着てもいいのか、というとそうではありません。より快適に過ごすためのきもの選びを指南いただきました。

ツルッとした織のきものは紬に比べて軽やか

こちらは、本糸(ほんし)と呼ばれる糸を使った光沢がある比較的薄手の織のきものです。軽やかなので袷の時期でもあまり寒さが厳しくないちょうど今くらいの季節にも活躍する一枚。今年は10月に入っても暑い日が続きました。そんな時は無理をせず、単衣のきものを着用する事も大切です。

次は、首里花織と言われる沖縄の織のきものです。私は首里花織が大好き!織のきものの中でも比較的ドレッシーに装えるので、好みです。

首里花織

首里花織というのは、表地が緯糸が浮き、裏で経糸が浮くという構造でこのような美しい文様が織り出されます。一つ目のきものとは表情が異なりますね。

3つ目は、ロートン織と言われるこちらも沖縄の織物です。

ロートン織

ロートン織は、表も裏も経糸が浮くと言う構造です。このロートン織はとっても美しいですね。

秋冬に重宝するグレーの織り3種のきものが揃いました。グレー無地と一括りにしてしまう事も出来ますが、よくよく見ると、それぞれの反物の表情は全く異なります。色無地のコーディネートを考えるときには、その素材感を踏まえなければいけません。特に、袷の季節、素材感によって暖かみが出たり、素朴さが出たり、風合いがコーディネートに大きく関係してくるからです。

さて、この3つのきものに八木さんの帯選びは、、、。

本糸のきものには、勝山健史作の名古屋帯を。茶の地色に紺色のモダンな文様が印象的な1枚です。

次、花織には染織家 柳崇さんの帯を合わせます。

次に、ロートン織には鮮やかなブルーが印象的な鈴田滋人作の木版摺更紗の帯を合わせて。鈴田滋人は木版摺更紗の人間国宝です。

帯ときもののコーディネートのコツは、それぞれの力具合を揃える事だそうです。どういうこと??と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、作品の力具合を合わせないと、どうにも釣り合わないコーディネートになるのはよくあること。これを回避するためには、目を鍛えつつ、実践の積み重ねが重要ですね!

■紬コーデ

次に紬のきものでのコーディネート例です。こちらは、柳崇さんによる賤機(しずはた)織りのきものに、勝山健史さんの九寸名古屋帯です。またもやグレーのきものですね!

賤機織りというのは、八木さんにお聞きしたところ、柳さんのお父様が浜松にいらしたころに静岡にある賤機山(しずはたやま)から名前を取って制作した織物だそうです。座繰り糸と呼ばれる手作業で引かれた糸を使って織ったものです。写真では分かりにくいですが、座繰り糸特有の風合いが魅力です。

勝山さんのブルーの帯がすっきりとした印象にしてくれます。スマートカジュアルといった印象です。さて、この帯は、こんな色のきものにも合うでしょう。

反物の地色により、帯が引き立つ感じがしますね。

さて、次の紬は、縞模様の平織りのきものです。

やっとグレーのきものじゃない!笑
冨田潤さんの秋色カラーの八寸名古屋帯を合わせて。いい色合いですね。八寸名古屋帯というのは、芯を入れないで仕立てますので、太めの糸で織っているものが多いです。八寸も九寸も出来上がり幅は同じです。

袷の季節に入ったら、帯は袷用であれば何を合わせてもオッケー。ただし、縮緬は素材の見た目の問題で暖かく見えるので、寒くなってから締めるのがベター。

■袷の長襦袢

袷の季節には、長襦袢も徐々に替えていきます。
とはいえ、袷の季節になる10月については、長襦袢は単衣(単袖)、袖無双は11月からなのだそうです。

10月はまだ単衣の長襦袢をお勧めしています、という八木さん。昔から八木さんでは10月いっぱいまでは単衣襦袢で、11月から袷の長襦袢としてきたというお話がありました。教科書的な話で言うと、10月からはすべて袷!と習った方も多いと思いますが、確かに、11月に入ったというのに汗ばむ陽気。

単衣の長襦袢の場合は、裏まで柄が通っているものを選ぶと良いですよ、とアドバイスがありましたね。この長襦袢の色も柄もとても綺麗ですね。ちなみに、この手の柄の長襦袢は、普段着用の長襦袢ですので礼装用には着ませんのでご注意を。

寒い冬のきものコーデ

真冬の紬の代表と言えば、真綿の結城紬。(お写真なくてすみません)。地機の結城紬は重要無形文化財。お値段もびっくりですが、着れば着る程、風合いがよくなると言われています。真綿がとても暖かく寒い日にはぴったり。

八木さんのオリジナルの紬で八草紬もご紹介がありました。こちらも真綿であたたかい。普段着にとても便利な一枚です。


つづく

あこや

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