きものサロン 逸美 お話会「織 裂と裂の間」へ
先日、群馬県 高崎の呉服店 きものサロン逸美さんのお話会にお声がけいただき、お邪魔してきました。逸美さんは、今年から東京での催事も開催され、SNS通じた発信も積極的に行い、東京にもファンがたくさんいらっしゃいます。このお話会も初めての試みということで、楽しみに伺いました。
お話会のゲストスピーカーは、京都西陣の株式会社 帛撰(はくせん)の小口社長。「織 裂と裂の間」というテーマでのレクチャーでした。
こちらが、小口社長。
帛撰の帛という字は、絹物を表す言葉で、かつて中国では帛は同じ目方の金と交換が出来た、というほど貴重なものでした。錦という漢字を見れば、一目瞭然ですね。
小口社長のお話は、組織のお話に始まり、歴史をひも解きながら、経錦(たてにしき)・緯錦(よこにしき)・羅から有職文様まで多岐にわたりました。
上の裂が緯錦で下が経錦。帯などでよく見る●●錦。
経錦というのは、経糸だけで文様を織り出す織り方で、緯糸を見せずに織り上げるものです。こちらの方が俄然歴史は古く、羅とともに、紀元前2000年頃(前漢の時代)から存在したと言われています。
一方で、緯錦というのは、緯糸だけで文様を織り出す織り方で、経糸を見せずに織り上げます。紀元前600年頃から出現、大きい柄が織り出しやすいということから人気を博し、経錦がほとんど織られなくなる様な状態になるほどだったそうです。
経錦といえば、人間国宝でいらした北村武資先生が有名ですが、北村先生といえば、「羅」もまた素晴らしいものでした。
羅も、大変古い織物で、今でこそ夏の素材として私たちにも親しみがありますが、小口社長曰く、本来は、夏限定の布ではなかったとのこと。
羅の組織は、上記写真のように、菱形の地紋しか織ることが出来ません。また、あらゆる織物が機械化することが可能ですが、羅だけは、手織りでしか織ることが出来ないものだそうです。
小口社長が、過去様々な裂を見てきた中で、これが一番!という羅がこちら。
こちらは、「正倉院裂と飛鳥天平の染織」という松本包夫さんの著作からの抜粋ですが、羅に夾纈(きょうけち)染を施したものです。羅の菱形構造が確認できますね。
夾纈とは、天平の三纈と呼ばれる三大染織(防染)技法のひとつで、二枚の板に同じ文様を彫り、その間に布を挟んで染め上げる大変古い技法です。白鷹お召は現在でもこの技法が用いられていますね。
そしてお話は有職文様へ。
有職文様は、現代の私たちにも礼装でなじみ深い文様ですが、日本で王朝文化が栄えた平安時代(8世紀後半~12世紀末)以降、貴族階級で用いられてきた伝統的な文様「有職(ゆうそく)文様」を言います。
ただその起源はよくわからないのだそうです。小口社長のお話によれば、中国「遼」の時代(900年頃、日本は平安のころ)に王様の衣服に用いられた鳥文様がその起源なのではないか、というお話でした。
日本でも、鳥襷紋など、鳥を用いた文様は多々ありますね。
最後に、唐織や能衣装などで用いられるだるま糸のご説明もあり、とても興味深かったです。だるま糸というのは、生きた蚕の状態から糸を引くという大変貴重な糸で、現在は生産されるものはほとんど文化庁が三味線、お琴用に買い上げてしまうようで、きものになかなか使えない状態なのだそう。
だるま糸を経糸に用いて、緯には濡れ緯を使用し織ると大変パリッとした能衣装が出来上がるのだそうです。面白いですね!
さて、お話の後は、お待ちかねのアフタヌーンティ。
お席ご一緒した皆さまと。
パフェがとっても美味しかったな。
最後に、きものサロン 逸美の早苗さんと一緒に。
早苗さんのお人柄あふれる暖かい会でした。
会場は逸美さんのステキなお客様でいっぱいで、ご一緒させていただき感謝でした。
1月には、東京で催事が行われるようですので、ご興味ある方、HPや逸美さんのインスタグラムなど、ぜひチェックなさってくださいね☆
さて、この日の私の装いは、おか善さんの松葉模様の小紋に、勝山健史さんの名古屋帯を合わせました。最近、紫色に目がなくって、お気に入りの一枚です♪
あこや
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