浴衣は寝間着かファッションか!? pajama or fashion?

■浴衣人気は健在!

夏休みが始まりましたね。
夏祭りも各所で開催され、浴衣シーズン到来です。

きもの小売市場規模は全体で年々落ち込むきもの業界ですが、2017年の矢野研究所のきもの年鑑によると、安価の浴衣のネット販売やレンタルは活況で浴衣自体の売上は好調が続いている近年。「きものはちょっと、、、」という人も、夏には浴衣を着たい!という浴衣人気がうかがえます。

この季節になれば、どのファッション誌でも浴衣特集が組まれるのは当たり前の事。浴衣の着方のYoutubeもコンテンツが満載。ニーズの高さが分かります。

あこやきもの教室の生徒さんと一緒に浴衣で♪


■きもの愛好家にとっての浴衣

実は、私自身は、きものを着る様になってから、すっかり浴衣を着るチャンスが減ってしまいました。浴衣を着よう!という発想の前に、普通に夏きものを手に取るからです。そして、なんとなく、浴衣を着ていると心もとない感覚を持ちます。「ゆかたは家着」っぽい、という知識が身体に染み付いてしまっているからかもしれません。

実際、浴衣は、湯帷子(ゆかたびら)という麻の湯上がりに着るきものが原型。きものが日常着であった頃には、浴衣は外で着るものではない、という感覚が多くの日本人にはあったのではないかと思います。浴衣という漢字からもわかりますよね。

ですから、きものに親しみがあればある程、きもの知識があればある程、浴衣について、きものとは一線を画して考えている方、多いのではないでしょうか?

■2019年、浴衣は寝間着なのか?

一方で、夏になれば浴衣を着てデートや外出を楽しむ若い世代(若い世代に限らないですね)にとっては、果たして浴衣は家着や寝間着という感覚はあるんでしょうか?

今、百貨店などの浴衣売り場で販売されいてる浴衣は、昔ながらの白地に藍で模様が入ったというものに限らず、カラフルで柄もモダンなものから絵画的なものまでとても多様です。

私たちは、待ちに待った花火大会のために、美容院で髪の毛をセットして、メイクもばっちり、お母さんに(場合によっては美容院の着付けで)可愛らしく浴衣を着付けてもらって、張り切って出かけていきます。夏を楽しむファッションとして、浴衣は現代に完全に受け入れられていると言えるでしょう。それが、「今の感覚」だと、私は思います。

■浴衣おことわりに、違和感

浴衣がファッションとして生き生きと活況を呈している現代において、いまだに「浴衣おことわり」という、ホテルやレストラン等の存在には違和感を感じます。(もうあんまりないとは思うのですが)もちろん、結婚式などの冠婚葬祭に、なぜ浴衣はダメなの!?などと言う気はないし、「お客様は神様です」理論も私は持ち合わせていないので、お互いの条件が合わない場合は仕方がないわけですが、万が一、昔の感覚でいまだに「浴衣おことわり」ルールを貼っているのだとしたら、きものだけが今の感覚から取り残されているのかな、と言う気がしてなりません。

確かに、ホテルの部屋に備え付けてある浴衣でウロウロされてはたまりません。あれは、寝間着です。今私が話している浴衣はそれとは異なり、夏のファッションの話です。洋服もどこまでがファッションでどこまでがだらしない装いなのか、の境界線が難しいものもありますが、浴衣は決してだらしない、と見られない様に美しい着付けできちんと着る事をせめてものマナーにしたいですよね。そうすれば、きっと柔軟に対応して下さる施設が多くあるはず。

浴衣だから良い、悪い、ではなく、どう着るのか、が本質なような気がします。


あこや

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