染織文化講座Ⅲ にほんのきもの–江戸から今へ− by 福島雅子先生〜その①〜 Yuzensome lecture by Masako Fukushima

だいぶ遅くなりましたが、先日の染織文化講座の講義レポートです。
今回は学習院女子大学の福島雅子先生による友禅染めについての講義です。簡単ですが講義メモです。
1.友禅染と宮崎友禅
①友禅染とは

17世紀末に生まれた「糸目糊」を用いて防染し、「色挿し」によって模様を表す技法。友禅染の誕生により、従来の諸技法に比べ、遥かに多彩で精緻な模様表現を可能にした。
友禅染が、当時いかに画期的で人気を博していたかがわかる資料は下記の2種。
資料1:「源氏ひながた」貞享4年(1687年)刊行 巻頭 目録品定
扇のみか小袖にもはやる友禅染 ⇒ 扇だけでなく小袖にも流行ってきたよ、友禅染が。
※最初に扇に友禅染めが施されていたのがわかる。
資料2:「好色三代男」西村市郎右衛門 貞享3年(1686年刊行)
柳屋が下緒、ゆうぜん扇、音羽かるやき、今の世のはやり物
⇒ 今はやってるのは柳屋の下緒、友禅の扇、音羽のかるやき(お菓子)


※賀茂競馬文様小袖(京都国立博物館所蔵)同HPから拝借

これは、京都国立博物館に所蔵されている賀茂競馬文様小袖です。この小袖は、友禅染の誕生を象徴する小袖です。

拡大してみると、馬に乗る武将が色鮮やかに描かれています。友禅染が確立する以前には、小袖にこうした絵画のような絵を施すことは不可能でした。糸目糊置きと色挿しの技術がこの小袖を可能にしたのです。


②宮崎友禅斎とは

江戸時代中期の絵師・画工(プロダクトデザイナー)。生没年後は不詳。元禄年間(1688−1704年)前後に京都の知恩院門前に居住し、扇面や小袖の模様を描いて名声を博したと言われている人物。

友禅染めは、友禅が開発した技法と、私たちもどこかで聞き及んだことがあるかと思いますが、実は、史実をたどると、友禅自身が友禅染め特有の糸目糊置きや色挿しという技法の創意にどれほど関与したのかは不明だといいます。

元禄5年(1692年)には友禅自らが「余情(よせい)雛形」と題する雛形本(=デザイン集)を刊行。友禅のデザインは当時の人々を魅了し、人気を博します。こうした友禅が描く模様が小袖に取り入れられ、友禅として流布したと考えられます。

資料3:「友禅ひいなかた」貞享5年(1688年)刊行 序文
ここに宮崎氏友禅といふ人有て絵にたくみなることいふに斗(はかり)なく
古風の賎しからぬをふくみて今様の香車なる物好奇にかなひ
上は日のめもしらぬおく方 下はとろふむ女のわらはにいたるまで此風流になれり
⇒ 宮崎友禅を名乗る絵師。当時大いに人気を博す。非常に今どきで上品でカッコいいデザイン。

こうした資料をみると、いかに宮崎友禅斎が当時人気のあったデザイナーであったかが汲み取れ、実際の技術は当時いた職人の方々によって鮮やかに小袖に施されたのではないかと言うことが推察できます。

 

つづく

I got the Yu-zen-zome class by Prof. Masako Fukushima.
Yuzen Miyazaki is said to be a founder and an inventor of Yuzen-zome but the truth is he was a very popular fan (sensu) designer in edo era and he probably directed the kosode as a fashion designer. So he never invented the technique for making Yuzen-zome such as itome norioki and irosashi.
あこや

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