京絞り寺田「右近の橘」展 Kyoshibori Terada exhibition

先日、京絞り寺田さんの催事に出かけました。毎年この季節恒例の日本橋 丸善さんでの個展です。近年、植物染を本格的にはじめた寺田さんの新たな作品が並びました。テーマは「右近の橘」。

このレモンイエローの総絞りの訪問着は、橘という植物で染められたものです。橘は、染料としてはまったくメジャーじゃないものだそうで、まず橘で染めること自体が一つの挑戦だったとのことです。

橘は、染料としてはあまり聞かないけれど、着物の柄としてはとっても有名ですよね。

千總さんのHPから拝借

このハートマークのような文様が橘の文様。いわゆる柑橘類(みかん)などの総称で、意匠化してきものの柄として多用されています。この橘が、まさか染料になるとは。

下の写真の瓶に入っているのが橘です。左が橘の実、右が枝と葉。橘の花が咲く前の葉と枝で染め出すと、このような鮮やかな黄色になるんだとか。

実際に染めてみて、ここまで鮮やかな黄色に染まるとは思ってもみなかったと、寺田さんは話されていました。黄金色ですね。反物一旦染めるのに、橘が段ボールひと箱必要だったそう!

こうなってくると、その大量な染料はどこから入手するのか、という話ですが、今回は京都のあるお寺の橘から提供していただいたものだそうです!会場にはそのお寺の御前様もいらしていました。今では、自生する橘もあまりないでしょうから貴重ですね。

さて、この日は、寺田さんと家庭画報やきものサロンで活躍されている編集者の相澤慶子さんのトークショーがありました。

寺田豊さん

きものにおける植物染って皆さんどんなイメージがありますか?
化学染料に比べて、やはり自然の色が持つ柔らかな色味や経年変化で得られる落ち着いた色合いがその特徴といえると思います。植物染を紐解けば、その大変さに驚くわけですが、作り手の人たちが今もなお、植物染に魅了されるのは、結果の面白さなのでしょうか。

相澤慶子さん

この日のトークショーでも話題に出たのですが、消費者である私たちは、「あら、このきもの、植物染よ。じゃあ、買いましょうよ。」という様に、直接的に植物染か否かが購入動機にはなりませんが、美しいなと思って手にしたものが、結果、植物染であったというのはよくある話かもしれません。

裾には橘も描かれて

寺田さんは、植物染を行うために、船鉾町にあるアトリエを引っ越そうと計画中だとかで、なかなか本格的に取り組まれようとされているご様子。

寺田さんは、もともと植物染をやっていた方ではないのですが、近年、葵祭の葵の復活事業をきっかけに植物染に入っていかれました。これについては、かつてのブログでも触れていますので、ご覧ください。

鯖江市で栽培した葵で染めた総絞り訪問着

染料から育てるわけなので、思い入れもひとしおでしょうし、この染料で染めたいという思いには背景があったりするので、そういうところも含めて作り手の愛情が作品に込められるのでしょうか。

最後に、相澤さんと。
この日は、諸事情ありきもので伺えなかったので残念でしたが、またお勉強させていただきました。

私がこの日着ていたコートは、妹のブランド「akurarobe」のものです。今年ゲットしたのですが、なかなか使い勝手がいいので愛用してます♪私、顔パンパン!ここ数日の食べすぎがたたっていますね。。。反省!


あこや

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