森田空美先生のレクチャーへ
先日、朝日カルチャーセンターで開催された、きもの研究家の森田空美先生のレクチャーを受けてきました。
「きものの美 現代の装い」と題された講義。先生にお会いするのももう何年振り。久しぶりのインプット、とても楽しみに伺いました。久しぶりにお目にかかった先生は、変わらずお美しく、凛としていらっしゃいました。
森田先生といえば、やはりかつての和楽でのきもの連載がセンセーショナルで、きもの界に新風を吹き込んだ方。私も当時の連載をリアルタイムで読んでいたわけではないのですが、その後、先生の御本を拝見し、きものにのめり込みました。私のきもの道がスタートしたある種きっかけの人です。
2004年に出版されたこの本、今読んでも全然古くない、学びが多いです。
さて、先日の講義メモを簡単に。森田節炸裂でした。
■きものは着慣れてこその風情~頑張りすぎないきもの~
- きものはどう着るかで、粋にもなるし野暮にもなる
- 主張が多ければ多いほど、騒々しいだけ
- 付け焼刃ではいけない
- 気を配っているが装った感に見えないことが大切
- 平凡だがどこか違って見える
■おしゃれに見えるために必要なことはなんだろう
- 森田流といえば「無地感覚のきもの」
それ、すなわち、素材の上質感である。着るものは、第2の肌ともいわれ、生地のとろみ感や
落ち感、帯であれば締め味がいいもの、そういった質の高さが、何か違うなと思わせるものに
つながっていく
- 無地はごまかしがきかない
無地こそ、制作者にとって最高に難しい逸品。
目の積んだもの、そして、ペラペラしていないものを選ぶことが重要。
■きものや帯の価値ってなんだろう
- 身につける人に付加価値をつけるもの
- 自分がHappyになれるもの
- 自分がきれいに見える、自信につながるもの
■森田流の着こなしのセオリー
- きものはシンプル
- 帯で遊ぶ
- 小物はスパイス(装いの完成度を高める)
- 季節感を大切にする
- モダンさは色数を控えることから、わかりやすい色ではなくニュアンスカラーを選ぶ
- 足元も無地感覚の装いの世界観で選ぶ
- ハンドバッグは洋服と兼用で良い
⇒着物と対峙する気持ちが大切、そこに心があるかどうか
自分の体の条件を見つめる
この日の先生の装いは、染織家 田島拓雄さんのさわやかなグレーが美しい紬に、小島秀子さんの帯を合わせていらっしゃいました。春を感じるグレーでしたね。先生の御本を読まれたことがある方はお分かりかと思いますが、森田先生のキーカラーといえば、グレー。あこがれた方は、一度はグレーの着物を仕立てたことがあるのでは(笑)。
先生のお話を聞いて、よかったと思った点は、先生の装いの立ち位置が改めてよく理解できたことと、同時に、自分のきものに対するビジョン、スタンスがよりクリアになったな、と感じたことでした。
そして、私がずっとずっと感じている、きもの道の極意。
「きものは、自分に似合うものを知ることから始まり、そして、それが一番難しい」
なんか、身も蓋もないんだけれど、雑誌が提案する装いを、そのまま真似しても実は意味がない。
自分に似合うもの、あなたに似合うものを着てこそ、あなたが何百倍も輝く、それがきものコーディネートの鉄則だと思うのです。(洋服も同じですよね)
憧れの先人たちのエッセンスは盗めても、実践は自分で試行錯誤をするのみ、ということです。
日々精進、訓練ですな!(笑)
がんばろ!
あこや
Leave a Reply