青山八木さんレクチャー第三回「きもの、初めの一歩」へ その① A lecture “Kimono A to Z” by Aoyamayagi

玉川高島屋さんのコミュニティクラブ玉川で行われている、人気呉服店 青山八木さんの店主 八木健司さんによるきもの講座もいよいよ最終回となりました。

3回シリーズの最後は、八木さんの真骨頂!?コーディネートについてです。洋服と異なり、きものや帯は形が既に決まっていますから、色や柄、素材、そして組み合わせで、自分らしさを演出したり、楽しんだりすることが大切です。

きもの初心者にとって、このコーディネートは難題ですね。直感でこれとこれ!と芸術的に組み合わせるのもいいけれど、日常的にきものを楽しみたい我々にとってのコーディネート術は、まずは型を知ること。そして、いろんな知識を持ち合わせていくことで、どんどん自由にコーディネートを楽しめる様になっていきます。

では一部ですが、講義メモです。

■型を知る:礼装〈フォーマル〉

今回も、本当にたくさんの教材(お店で扱う素晴らしい品々)で講義をしてくださいました。なかなかこうした講義は他にないですね。貴重です!

それぞれのコーディネートを見ていく前に、コーディネートで気をつけたい3つのお話がありました。
●帯揚と帯締の色を揃えることはNG。 ⇒ 野暮ったくなります。
●顔の近くには、濁った色を持ってこない。 ⇒顔映りが悪くなります・
●帯ときものの柄は同じにしない。 ⇒ ×(例)桜柄のきものに桜柄の帯

では、まずは、フォーマルのコーディネート術から。フォーマルは、あくまでも「品良く、奇をてらわない」がポイント。まず、手前、淡いピンク色の地の付け下げと奥に見えるのは濃茶の御所解の反物を用意しました。

コーディネート術 型その①「薄い色同士を合わせる」。
薄いピンク地の付け下げ × 薄い地色の唐織の袋帯 という組み合わせです。この薄い地色同士を組み合わせると、一番改まった感じが出ます。

これに帯締めと帯揚げを選んでいきましょう。

写真の角度がイマイチなのでわかりにくいかもしれませんが、帯締を選ぶコツは、きものと帯の中にある色を選ぶ、という考え方と、補色といってそこにない色を選ぶ、という考え方があります。帯の上にある手前の帯締は、冠組の一色もの。きものや帯と同系統のピンク系が上品な組み合わせですね。一方、奥に見える唐組の帯締は、補色の関係。金糸や銀糸が入ったものであれば、帯締で格も上がります。帯揚も白っぽいすっきりしたものやグレーなど収まりが良いですね。

次です。型その②「反対色をあわせる」。

きれい色の付け下げに今度は北村武資先生の黒の経錦の袋帯を合わせてみます。帯が濃い色なので、全体がぐっと締まる感じがしますね。同系色のコーディネートより少し洒落っぽくなり、カジュアルになります。

このような場合、帯が黒で柄もあるので、帯締は無地を選ぶと良いでしょう。帯揚の色選びで迷った時は、強い色を選ぶと良い、と言うアドバイスが八木さんからありました。全体の着姿からしたら帯揚が占める割合などほんの少し。だったら多少強い色を選んでも大勢に影響はない、ということです。

では、また別の帯を当てて見ましょう。北村武資先生の斜子織の袋帯です。

綺麗ですね~。この帯は、小紋からフォーマルまで合わせられる万能帯です。色味も、同系統ですから、同系色の帯締を持ってきて春らしい女性らしいコーディネートです。

他方、このような唐組の帯締はどうでしょうか。

この袋帯自体には、金糸、銀糸が使用されていないのですが、帯締に金銀糸が入ることでぐっと格が上がる印象があります。小物の組み合わせで随分印象が変わるものです。

さて、次はきものを変えてみましょう。濃い色の御所解です。

これには、北村先生の経錦の帯を合わせてみます。この帯は、金銀糸は使われていませんが、鳥襷紋(とりたすきもん)という有職文様で格が高い帯になります。こうした文様の知識もコーディネートには必要ですね。上の写真のような濃い帯締を合わせると、よりカジュアルな印象になるそうです。TPOに合わせて考えたいですね。

次は、典型的なフォーマル袋帯です。

この手の帯は、皆さんのお宅にも一つはあるでしょうか。金銀糸が多用された結婚式などのフォーマルな場面などに何も考えず選べるTHEフォーマル帯ですね。こうした帯には、白や鼠系の帯締を合わせるのがおススメです。冠組というのは、あまりフォーマルには向かないのかな、と私も思う節があったのですが、全くそんなことはないそうですよ!

帯揚は、帯ときものをつなげる役割を果たします。そのあたりを念頭にコーディネートを考えると良いそうです。

もちろん、この帯はもう一つの付け下げにも間違いなくフィットしますね。きものの地色が白っぽいものの場合、この帯の印象はピンク色に見え柔らかい雰囲気になります。一方、この濃い色の御所解に合わせると、反対色ゆえにお互い主張し、帯の印象が周囲の人に強く残ります。組み合わせで見え方が変わるのも、ぜひ考慮したいものです。

つづく

あこや

Leave a Reply

CAPTCHA