青山八木☆秋講座☆「きもの、初めの一歩」第3回 ~その①~ an Aoyamayagi lecture


昨年の話になってしまいましたが、コミュニティたまがわで開催されている青山八木さんの秋講座の最終回に伺いました。10月からスタートした秋講座全3回も、とても内容濃い3日間でした。

青山八木 店主 八木健司さん


今回のテーマは小物使い。
これまた、難題といいますか、楽しいテーマですね!

きもの愛好家の皆さまなら「そうそう!」と納得いただけるかと思いますが、きものコーディネートにおける小物使いの重要さといったら!
よく言われるのが、

「きものを買いまくる前に、小物を揃える!」

小物(ここでは主に帯揚と帯締)は、着姿の印象を大きく左右します。ですから、まだきものの好みが定まらないうちは、気に入ったきものに合わせて様々なバリエーションの小物を増やしていくと、コーディネート力も高まり、コーディネートの変化も楽しめる、というわけですね。

青山八木さんの帯揚


八木さんの帯揚は、とても形が整いやすくて大好きなのですが、この色味!八木カラーですね~。すべて、八木さんのところで指定して色出ししているものですので、八木さんで誂えるきものにぴったり合う色味が揃っています。

こちらは帯締。


たくさんお持ちいただきました~。

八木さんで扱われる帯締は、すべて道明さんのものです。道明さんで通常販売されているものもあれば、八木さんの別注もあります。
さて、これらを、織のきものから合わせていきます。

■織のきものの小物コーデ


織のきものといえば、私の中では八木さんのイメージがとても強いです。
まずは、柳宗さんのきものに、柳宗さんの名古屋帯を合わせます。

色合いが変わると印象が変わりますね

この柳さんのきものは、経糸に本糸(いわゆる絹糸)、緯糸に玉糸(玉繭から取った糸。玉繭とは、 2匹以上のカイコが共同して1個の繭を作ったもの。  )を使った風合いのあるものです。

まずは、基本パターンから。
小物コーデの方法①帯やきものから1色を取り濃淡で取り合わせます。調和しやすく、わりと簡単にコーディネートが出来ます。手前のグリーンの帯締は、帯のグリーンから取り合わせました。

一方、補色でコーディネートする、という方法②もあります。
この左側のピンク色は、帯にない色味をあえて持ってきています。補色コーデは、上の方法に比べてやや難しいです。

もう一枚の帯でも同色系コーデです。

次に、帯を変えてみます。冨田潤さんの八寸名古屋帯を合わせましょう。
左2本が同色系、右2本が補色系。

これに、帯揚を合わせていきます。

奥に見える帯揚のグラデーションが美しい~。

帯に合わせた帯揚、手前はグレー、奥が濃い茶。帯揚は、調和としてコーディネートになじむ色を持ってくるのが鉄則ですが、帯やきものにあまりにも近い色は避けるべきだそうです。また、濃い色目の帯揚は、コーディネートは難しいけれど、どんどんトライしてほしいとのことでした!ポイントは、濁った色味の帯揚は避ける事。顔色がくすみますね。(あー怖い)

次は、染織家 藤井繭子さんのきものでコーディネートを考えます。

シャンパンカラーの美しい一枚。こちらも緯糸に玉糸を使っていて、紬よりも光沢があります。こちらのきものに合わせたのは、再び柳宗さんの帯。平織のきものに対して、綾織の帯をもってくることで素材感を変えます。

ちょっと帯締の色味を明るくしてみます。春を意識したイメージ。

帯締や帯揚を変化させると、途端に雰囲気が変わるのが分かりますよね! 幾何学模様の帯や、無地きものの場合は、小物の色味で季節感を演出することが大切です。

次はこの帯を合わせます。再び柳宗さん。

紫色の格子柄の帯に、焦茶と墨色の帯締めを置いてみます。
次は明るい色味を置いてみます。

濁り毛のないグレーの帯揚というのは、超万能選手だそうで、顔も暗くならず、便利な一枚だそうです。

次は、山下芙美子さんの八丈織コーディネートです。
なんと!小倉織の築城則子先生の帯を置かれました~!

築城先生の帯はいつ見てもため息が出る精巧さです。着る芸術だ。一方大変力強いものなので、合わせる着物も同じくらい力強いものでなければバランスが悪いため、なかなかコーディネートが難しい帯です。
ちなみに、この帯は木綿の帯。木綿の帯には、絣柄や光沢のあるきものはなかなか合わない。
※絣柄の場合は、合わないというか、センス良くまとめ上げるのがものすごく難しいです。同じ絣でも、十字絣などの絣が控えめなものに合わせることをお勧めします、だそうです!

木綿は、絹糸に比べ染料を大量に吸うので、染料を十分準備する必要があるのと、見てお分かりの通り、経糸の密度がすごいので、経糸を整経するのが非常に大変という、とにかく手間がかかる作品なんですね。

帯揚と帯締を合わせてみます。

この左のユニークな帯締は、普段なかなか合わせるものがないとのことだったのですが、不思議とこの組み合せには合うんだ、というお話でした。

では、次に再び冨田さんの帯。

下が冨田潤さんの帯、上が柳宗さんの帯

この冨田さんの帯は、生皮苧(きびそ)という生糸を繰るときに出る糸くずを集め、乾燥させて糸にしたもので織った帯です。経糸を整経したあと、上から刷毛で色を置き、織る際に経糸を一部ずらして織るため、絣の様な文様があらわれると言う、大変手の込んだ作業で、作家ものならではです。

小物コーデは、こんな感じ。
皆さん、自分で小物を選ぶならどうなるかな、という視点でもう一度頭から読んでみて下さいね!

次回に続きます!

あこや

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