染織文化講座「芹沢銈介のいろは―金子量重コレクション」展へ〜その②〜 Keisuke Serizawa from Kazushige Kaneko collection

国立近代美術館の研究員 今井陽子さんによるレクチャーのメモです。

■430点の寄贈からなる今回の展覧会

「芹沢銈介のいろは」展は、2015年に芹沢銈介自身と30年以上の交流があり、芹沢作品のコレクターであり研究者である金子量重氏から寄贈された430点にも及ぶ作品を中心に構成された展覧会である。作品はもとより、交流があった関係性ゆえに下絵やスケッチといった類いも多く含まれた点で非常に貴重な寄贈コレクションであった。

■芹沢銈介 「型絵染」重要無形文化財保持者(1956年認定)

「型絵染」というのは、芹沢銈介が人間国宝になる時につくられた造語である。(小宮康助氏が人間国宝になられた際に、江戸小紋とコトバが作られたのと同様なケース) 型絵染は、量産が目的の型染と区別するように、芹沢のそれは、型を使って文様を作り出そうとする意思の表れがそれまでの型染と異なることから、新たな概念「型絵染」の職人として認定された。

■芹沢の作業工程

「下絵」⇒「型彫」⇒糊置き⇒色挿し⇒水元⇒伏せ糊⇒地染(浸染)
芹沢の型彫は、どうしたらあんなに動かしながら彫れるのか、と言われるほど独自性に溢れている。絵模様を型紙を以て染織する技法が型絵染である。

■芹沢銈介 民藝との関わり

1895年生まれの芹沢銈介。日本の染色界を牽引した第1世代。
1916年に現在の東京工芸大学の図案化を卒業した芹沢。当時の「図案」とは、現在で言うデザイン。この時代の新しいキーワードだった。

民衆的工藝品、略して「民藝」運動をおこした柳宗悦に傾倒。
1928年はじめて沖縄紅型に触れ、それをきっかけに染色の道へ入る。
1931年雑誌「工藝」の装丁を担当。1号で500冊もの生地で作る装丁を制作。
グラフィカルな芹沢銈介さんの型絵染に、かなり、ぐっと来ました。

ぜひ、足を運んでみて下さい!

あこや

 

 

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