京絞り寺田 草木染のきものと帯展Ⅱ〜その⑤〜 Kyoshibori Terada exhibition

CHANELの赤

私が下山先生の存在を知ったのは、2005年にCHANELが発売した赤い口紅の製品誕生秘話のNHKドキュメンタリーを観たことがきっかけでした。

CHANELにとって赤い口紅というのは、まさにブランドを代表する大切な商品。創業者のココ・シャネルが世界で始めてスティック状の赤い口紅を開発。世界中の女性が憧れるCHANELの赤い口紅は、常に世の中とともに進化してきました。

時代を映し出す赤、CHANELは常に新しい「赤」を求めて世界中を歩き、そして日本の「赤」にたどり着きます。ドキュメンタリーでは、染織家の吉岡幸雄先生のところで様々な植物染料によって染め出される「赤」に衝撃を受けるフランス CHANELチームが取材されていました。

チームは、日本古来から染められている紅花を使った赤の美しさに魅了されます。そして、かつて江戸時代の日本女性が紅をさす時に使っていた口紅に着目。紅花から取れる赤い色素をお猪口のような小皿に塗布したものを、水を含んだ筆で口につけていた昔々の口紅です。

塗布されたお猪口自体は、なぜか玉虫色に輝き、筆で取ると紅色になるという不思議なものでした。この玉虫色の輝きというのが紅花という染料の特徴なのです。この独特な性質に触発されたCHANELチームは紅花での開発を進めます。

この開発の過程で、下山先生との出会いがあります。

下山先生は、紅花とそもそもCHANELが赤い口紅を作る際に使用していたコチニールという赤い動物染料の蛍光性の違いを発見。

コチニールと紅花の混合物は、紅花だけで作った口紅よりも赤い光を発することが分かり、これらを混合して口紅を作ることを提案。

こうして、CHANELがその名も「AKA」という名前の口紅を発売するにいたった、というお話を最後にご披露くださいました。

先生の講義は、内容が非常に濃く、時に専門用語も飛び交うなかなか興味深くも難しいお話でしたが、とても勉強になりました。

最後に下山先生と。

先生の研究所にもいつかお邪魔してみたいな☆先生、貴重なお話をどうもありがとうございました。こうした学びの機会を作ってくださった、京絞り 寺田さんもありがとうございました☆

 

あこや

 

 

 

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