京絞り寺田 草木染のきものと帯展Ⅱ〜その②〜 Kyoshibori Terada exhibition

植物染料に宿る輝く力

今回の個展では、岡山吉備国際大学の名誉教授である下山進先生による、植物染料についてのレクチャーがありました。

下山先生の事は、以前、先生がフランスのCHANELとつくられた赤い口紅のドキュメンタリーを観た時から、いつかお話を伺ってみたいな、と思っていた方だったので、今回とても楽しみに伺いました。

こちらが下山先生です。ちょっと写真がぶれちゃった。

この日の講義のタイトルは、「植物染料に宿る輝く力」。

下山先生は色の専門家。どんな専門家なのかと言うと、ある対象物を破壊せずにその対象物が染められた染料が一体なんなのかを調べる手法を開発した先生なのです。

例えば、正倉院にある宝物の古代裂など、これまではその一部を切り取って検査する方法しかなかったところに、この先生の非破壊分析法は文化財保護の観点からも画期的だったわけです。

 

その手法は、「三次元蛍光スペクトル分析法」

下山先生の非破壊分析法は、エックス線、紫外線、可視光線、赤外線を用いた染料が発している光の応答を解析する手法です。なんだか難しいですが、染料というのは、自ら輝く力を持っていて、様々な光を当てることで一体どんな染料が使われているのが分かる、というのです。

私たちが、「光だ」と感じるものは一般的に可視光線と言われるもの。でも、エックス線や紫外線、赤外線も光の一種なのだそうです。

写真が悪くて恐縮ですが、これは毎年下山先生が実施している沖縄の紅型調査。

赤外線 ⇒顔料か染料を識別できる
エックス線 ⇒ 顔料の種類を識別できる
紫外線 ⇒ 染料の種類を識別できる

下山先生は、染料の蛍光を発するという特性を利用し、様々な光を当てることで、この紅型が一体何を材料に染められたきものなのかが特定できるという手法を確立されました。光を当てるだけなので、重要無形文化財や国宝を傷つけることなく、歴史を紐解くことが出来るわけです。

これってすごく画期的なことですよね。

色という視点での文化財研究は実は世界で見ても下山先生が牽引していらっしゃる、という状況で、先生のところには世界中から調査依頼などが舞い込んできているそうです。

 

つづく

 

あこや

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