美しいキモノアカデミー 染司よしおか 吉岡幸雄さんトークショー「日本の色、海を渡る」

皆さま、どんより梅雨な毎日、いかがお過ごしでしょうか。
毎日バタバタしていて、ブログを書くスピードが日常に追い付いておりませんが、なんとか頑張りますのでお付き合いくださいませ。

さて、6月末に、銀座もとじ和染で開催されました雑誌 美しいキモノ主催 染司よしおかの吉岡幸雄さんのトークショーへ行ってきました。

吉岡さんは、植物染料を用い、飛鳥天平以来の染織技法に則って、染めを行う「染司よしおか」の五代当主。

今回のトークショーは、吉岡さんの著書の中の一冊『日本の色を歩く』をもとに、全国各地にゆかりのある「色にまつわる物語」 についてお話がありました。


とてもチャーミングな吉岡先生のブラック??ユーモアたっぷり、のお話、とても面白かったです。

さて、吉岡先生と言えば、先生が司るその美しい日本の色。

先生が持参された美しく染められた絹糸

2018年には、英国のヴィクトリアアンドアルバート美術館から依頼を受け、先生が絹に染め上げた日本の色70色が収蔵され話題になりました。(詳細は⇒こちら)2020年1月まで展示されているという事ですから、チャンスがある方は是非!

先生のお話の中でとても印象的だったのは、日本の色は、本来とても華やかな色である、というお話でした。

先生が持参された染料

正倉院の宝物等を見ても、当時から鮮やかな染料が輸入され奈良時代や平安時代には鮮烈な色を着る様になっていた。(ある階級での話)こうした華やかな色があってこそ、禅の侘びやさびが生まれた。だから、現代においても、余計な概念ばかり抱えずに、華やかな色を遠慮しないで着るべきだ!というお言葉に私も心から賛同!

吉岡先生と言うと、ご存知の方も多いかと思いますが、奈良県東大寺の2月のお水取りの修二会(しゅにえ)のために600個の紙で作られる椿の花を奉納されます。

花づくり奉納

この美しい赤に注目。これは、紅花を使って染められた和紙。1枚の染めに掛かるのになんと紅花1.1㌔!

毎年大変なお務めです。なんとも言えない優しい紅色。「赤」という言葉では表現しきれないのが、日本の色、とでもいいましょうか。

さて、お話の中盤で、銀座もとじの泉二社長のご登場です。

もとじさんと吉岡先生の出会いは25年程昔。「日本の手仕事を仕事にするなら、現場を見なさい。」と先生にアドバイスを受け、各産地をめぐり、シルクの町とかつて言われた四国の野村町で絹糸の生産現場を見たのが契機となり、現在のプラチナボーイ構想が出来たとの事。

お二人の後ろに展示されているのは、現在、染司よしおかでV&A美術館に収蔵した日本の色70色のうち10色で染め上げた反物で、もとじさんで販売されているそうです。

さて、日本の色を歩くがデーマという事で、地域別にお話がありました。

まずは大分県。大分県は、阿蘇山の東側で奈良時代から紫根が自生していたという記録があったそうです。

先生が持参された染料 紫根

次に三重県。三重県は松坂木綿が有名ですが、三越はこれで大きくなったと言われています。山に囲まれ桐が深い伊賀上野では、現在先生の工房用に紅花を作ってもらっているそうです。紅花は山形だけではないのですね。実は、平安時代の書物に、紅花は伊賀が一番という記録が残っているのだそうです。驚き!

先生が持参された紅花の染料

島根県。津和野は赤瓦が有名で、民藝の土地です。出雲には製鉄のたたらが昔からありました。染織にとって、鉄は非常に大事なのだそう。用とは水に鉄分が少ないので、美しい綺麗な色を染めるには向いているんだとか。

次は東京都。実は吉岡先生の染め工房は、大正時代には東京の高田馬場にも工場があったんだそうです。現代では、「多摩川」と書くあの川も昔は「多麻川」と書き、江戸時代の絵には、麻布で織った布が多麻川に持ち込まれて洗われていた様子が多く描かれているんですって。調布、砧、布田など、布という漢字がつく地名は必ず染織に関係していた土地だったようです。こういうのも面白いですね!

レクチャーの後は、先生とおしゃべりタイム。

最後に、先生とぱちり!

先生、ありがとうございました!

あこや

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