弾丸京都の旅 ~その③~勝山健史さんのお話 Takeshi Katsuyama

さて、洛風林さんでのお勉強会。

お話を聞かせて頂くのは、勝山織物の勝山健史さんでした。勝山さんについては、たびたびこのブログでも触れているので、みなさまもご存知の方だと思いますが、勝山さんが世に送り出す帯やきものは、絹からこだわった徹底的なモノづくりに裏打ちされる本当に美しいものばかり。

そんな勝山さんのお話をうかがえるまたとない機会。今回、興奮し過ぎて肝心の勝山さんと写真を取り忘れるという、、、笑 相変わらずのおっちょこちょい振りです。

この日、私が締めていたブルーの夏帯も勝山さんの帯です。

大変軽やかで色合いも美しく上品なこの帯。大切な帯の一つです。

勝山さんの得意の引箔(ひきばく)という箔を糸のように細く細く裁断し、それを絹糸と一緒に織り込んでいます。表立って箔が主張することはありませんが、箔が引かれていることによる効果を設計して織られている帯なのです。なんとなんと手が込んでいることか!

では、簡単ですがお話しいただいた中でいくつかエピソードをご紹介。

【勝山織物と洛風林】

勝山織物と洛風林さんとのご縁は古く、麗子さんのおじいさまの代から洛風林を支える織元の一つでした。勝山健史さんも幼いころから洛風林さんに出入りされ、ご自身が家業を継がれることになった際、麗子さんのお父様から名物裂帳を見せられ「これと同じようなものをつくれるか」と頼まれたことが、今の作品づくりをスタートするそもそものきっかけとなった、というのです。

※洛風林さんのたくさんの図書資料から1冊拝見している所。

そのオーダーを受けた勝山さんは、現代の絹で昔の趣のある帯など作れない、と一念発起。ある糸職人との出会いをきっかけに、蚕から独自で飼育し糸を作ることから追求したものづくりをスタートさせます。

勝山さんは言います。
「昔のきものや帯などのテキスタイルの文様には、全て意味があった。こんなのが綺麗かな、とかそういうことではなく、その当時の人々の祈りであったり、願いが込められ生まれているもの。それを考えると、現代に生きる我々にはとてもそれと同じ発明は出来っこない。だとしたら、今の自分に出来ることは生地の質感だけでもその時代のものに近づけよう、、、!そういう想いで仕事をしている」と。

その言葉の通り、徹底的にこだわりにこだわり、研究に研究を重ね、今の勝山さんの作品が作られているのです。

どうせなら、誰にも出来ないことをやろう!若き勝山さんは、そう決心し、今日まで作品を生み出し続けていらっしゃいます。

※拝見していたご本はこちら。越後で作られる織物の端切れが実際に貼られた貴重な文献です。

【注目されはじめた作品たち】

勝山さんの地道なものづくりは、徐々に目利きたちの目に留まり、注目されていきます。現在、勝山さんの作品を取り扱う小売り屋さんは全国でも限られた数件。その中でも、私も日頃からお世話になっている青山八木のオーナー八木さんから言われた一言が忘れられない、とご紹介くださいました。

「趣味人の『好き』の熱量でプロの仕事をしてほしい」

素晴らしい言葉!!本当にその通り。そんなパワーで生まれた作品だからこそ人々を魅了するのです。勝山さんにとって、現在でも大切な言葉になっているそうです。


※この日ご一緒させて頂いた青山八木の八木さんと。

勝山さんは続けておっしゃいます。

「きものの川上も川下も見てものづくりがしたい」

これはどういうことかと言うと、実際にきものを着る人たちの反応や今の時代の価値観を常に感じとってもの作りがしたい、ということです。一見、当たり前のような感じもする言葉ですが、昔からきものの作り手さんというのは、きもの業界の独特の流通事情のせいで、消費者や小売店と作り手の間に存在する問屋の顔を見て仕事をするというのが通例でした。

問屋が言った通りにものづくりをする織元も多かったはずです。ただ、今の時代、それだけでは、本当にきものを愛する消費者が求めているものは作ることは出来ない、と感じていらっしゃるのです。

そういったお考えがあるから、勝山さんは近年一般の方に向けて展示会を実施する機会をもうけ、各小売店での催事にはお店にいらっしゃり、実際お客様とお話しする機会を大切にされるのですね。とても素晴らしいことだな、と感激しました。

お話を伺っていて、とにかく、日本のきもの産業の危機、この状況がひしひしと伝わってきたのは言うまでもありません。皆さん、10年後。たった10年後!今、私たちが手に取ってみることが出来ている素晴らしいきものや帯たちが、もうなくなっているかもしれないのです。

後ろ向きになっても仕方がありません。真っ当なものづくりをされている方々を支援し、実際にきものの楽しさを着ることで多くの方々にシェアしていくことを私は私で地道にやっていくしかない、そう強く思いました。

きものに興味があるという方、すでにきものが大好きという方、皆さん、きものを着ましょう!きものってなんて楽しいんだ!多くの人に伝えていきましょう!私たちの誇る文化です!!!

麗子さん、勝山さん、今回はありがとうございました!

 

あこや

 

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