再び京都へ-洛風林展へ–その③ A Kyoto Trip Ⅱ
洛風林の愛すべき世界の文様展
会場は、こじんまりとした素敵な雰囲気で、洛風林さんの帯にぴったり。
こちらが、洛風林の堀江麗子社長です。今日もとっても美しかった~。麗子さんは3代目。この日の個展では創業者であるお祖父様の堀江武氏からはじまる世界中の古裂や民族固有のテキスタイルのコレクションと、それにインスパイヤされて制作された帯が所狭しと展示されていました。
洛風林の帯にはそれぞれ名前がついています。その中に「インカ動物文」、「ペルシャ蔓文」、「ウクライナ縫花文」、「クレムリンの花」、「リヨン華文」など、国名や都市名などを入れたものも多く、これらの中にはお祖父様やお父様が実際にその地に訪れ出会った文様を参考に意匠をこらしたものがいくつかあるそう。
洛風林さんの帯たちが表情豊かなのは、そういった背景があるのですね。だからこそ、目の肥えたきもの愛好家の目に留まり、白洲正子さんのような先見性のある人々に愛される作り手だったと言えるでしょう。
会場の外がテラスのようになっていて、いい眺めだな。
お祖父様の好奇心や探究心は並々ならぬものがあったようで、洛風林のものづくりの礎が作られるまでには、お祖父様と様々な教養深い哲学を持たれた多くの方々との出会いや協業があっての今であると、麗子社長は会期に宛てた文書の中で触れられています。
見てください~。
昨年の夏、洛風林の資料館にお邪魔させていただいた際も、たくさんの貴重な資料を見せていただきましたが、今回の会場にもタペストリーや民族衣装の一部などが展示されていました。
色々拝見して思うのは、これらの資料にはどこか可愛らしい、愛らしい、という共通点があるように思いました。1代目も2代目も人々が自然界からインスパイアされて生み出した愛らしい用の美を好まれたのかな、と推測します。
これは、型押しする木版コレクション。
これ自体もすっごくラブリー!
こうした木版でイランやペルシャで使用されていたものだそうです。これでペタンペタンと生地にプリントしていったんですね。こうしてはるか昔から人間は文様を生地に染めていく作業を繰り返してきたんです。
不思議ですね。無地じゃやなのかな。やっぱり装飾したいという気持ちは、人間のプリミティブな衝動でしょうか。
しかしながら、洛風林さんの場合はこの文様を織で表現しているわけですからね。ものすごいなと、驚かされます。例えば、この帯。
まるでキャンバスに筆で描いたような絵の具のかすれ具合などが全て織で表現されていますよね。タペストリーというのは、そもそも織で表現されたものですから、ルーブル美術館などに行けば、巨大な精緻なタペストリーをたくさん観ることができます。
しかしながら、きものの帯のお太鼓という小さな額の中にその世界観を凝縮して表現するというのは、1つの醍醐味でもあるでしょうし、難しさでもあったでしょう。
会場には、きもの姿のお客様も多くお越しでした。
つづく。
あこや
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