卯月の京都旅~③~「染司よしおか工房へ」Kyoto in April
今回の京都の旅のハイライト。
染司よしおかの工房にお邪魔するという貴重な機会に恵まれ伏見の方まで出かけてきました。
工房を入るとすぐに様々な染料が並べられたテーブルが目に入ってきます。故・吉岡幸雄さんの後を引き継いだ6代目の吉岡更紗さんが出迎えてくださいました。
少しですがご紹介したいと思います。更紗さんの話をきちんと理解できていない部分もあるかもしれませんが、そのあたりはご了承ください。
骨董の薬箱や看板などが所狭しと置かれた空間。こちらの工房は、更紗さんのおじいさまの代からで、それまではいわゆる京都の町中で染をされていたんだそうです。
偶然に選んだこの伏見という土地が水が美しい場所で、染織を行うにもってこいだったというのは、すごい話ですね。
これだけの染料を目の前に、テンション上りました(笑)。皆さん、どれがなんだかわかりますか??
手前から、紫の根っこ=紫根ですね。そして赤いのが紅花。こちらではこの紅花を使って東大寺のお水取りに使われる和紙でつくる椿の赤を染めて奉納されていらっしゃいます。
紅花の上が黄色い染料の梔子(くちなし)、紅花の奥が梅を燻製にしたものだそうです。天然染料は当然のことながらどれもが貴重です。これまでも入手するのが困難になる危機があったそうですが、幸雄さんの時代にいろいろ手を尽くして更紗さんの時代にも安定して仕事が出来ているのだそうです。
さて梔子の向こう二つはというと。。。
これは、二つとも藍の原料となる蓼(たで)です。手前が、乾燥した状態の葉でこれに水をかけて発酵させて出来るのがすくもです。
藍と一言で言えど、徳島が主な生産地の蓼藍、沖縄の琉球藍やインド藍など地域によっても多様です。すくもを発酵させるやりかたもあれば、泥藍といって藍の成分が沈殿することを利用して染めるタイプのものもあります。
琉球藍は、平良子先生のワークショップに参加させていただいたときに、みせてもらったな。喜如嘉の芭蕉布会館には、小さいスペースでしたが琉球藍が育てられていましたね。私のきもの探訪、わりと大作なのでお時間ある方、ぜひ見てみてください。(笑)
⇒着物探訪☆沖縄・芭蕉布の旅〜その①〜
こちらは、下が黄色の染料の黄檗(キハダ)。こうした染料って生薬が多いんですよね。この黄檗も、腸内の病原菌を殺菌する効果があったりするのだそう。
藍もそうですよね。昔の人ってすごいな~。
そして、奥の石のような結晶体にみえるのは、なんとミョウバンなんですって!ミョウバンは色を定着させるために液体状にして使ものなんですが、こんな風な塊状のものを見たのは初めてでした!
さて、工房内もご案内いただきました。
工房の入り口にある大きな木。こちらは黄檗(きはだ)の木。木の皮が染料になります。
立派な大きな木ですね!
工房内にはいると目に入ってきたのが大きな藍甕(タンク)。これは泥藍だとお聞きしました。
泥藍は、石灰を使って酸化し泥藍を沈殿させたものですから、アルカリ性です。藍を染めるには、染液のPH(ペーハー)を調節しながら染めていくのだそうですが、そのために必要なアルカリ性の水を抽出する装置がこれ。
工房内は、簡易な造りになっていて、夏は暑く、冬は厳しい寒さの中、職人さんたちが染の作業を行うのだそう。
この、ブルーのタンクが置かれている下に蓋がされているのは、地中に埋められている藍甕です~。半分土の中に埋まってます。こういう現場を見ると、アナログな作業の大変さの上に、あの美しい色が生まれるんですね。胸アツ!
さてこちらが、この工房で利用する井戸水をくみ上げている機械!
染の作業には大量の水を使いますから、水が豊かな土地であるというのはなによりですよね。
まだまだここには書ききれないたくさんのお話をお聞かせいただきました。更紗さん、まだまだお若いのに、お父様の元しっかり学ばれて立派に7代目としてお仕事されていて、頼もしい!ここから更紗さんの時代が始まるのだな~。
本当に貴重な機会を頂けて嬉しかった!
ご縁をいただいたS様、お忙しい中、お時間作ってくださった更紗さん、ありがとうございました!
あこや
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