沖縄への旅☆琉球の織物を訪ねて〜その②〜 Discover the okinawa weaving

さて、旅の旅行記に入る前に、
沖縄の染織について、少し触れておきたいなと思います。

沖縄の染織と言えば、まず思い浮かぶのは「紅型(びんがた)」ではないでしょうか。
紅型は、沖縄唯一の染物で沖縄県の重要無形文化財に指定されています。

※琉球びんがた事業協同組合のHPから拝借

みなさん、よく見たことがあるでしょう?鮮やかな色合いが、南国ならではの雰囲気で美しいですよね。紅型には、こういった様々な色を使ったものと、藍一色で染められるものと2つのタイプがあります。それぞれに型紙を使って染める技法と、手で模様を描く筒引きの技法の2種類があります。

そして、今回、私の旅のお目当てだったのが、沖縄の織物です。織物は日本全国に多数ありますが、経産省指定の伝統工芸品という中で見てみますと沖縄の織物は13種もあるんです。これは県別で見てもかなり上位。織物がたくさんある土地なのです。

ちなみに、その13種と言うのをご紹介しておきます。沖縄県は、なんと363の島々で構成されている県なので、これからあげる織物もそれぞれ産地は沖縄県内ですが、様々な場所(エリア)で生産されているんです。


※みんさー工芸館のHPから拝借

①久米島紬
沖縄本島から西に100㌔ほどに位置する久米島で作られている紬。伝統的な絣柄と泥染で染められた黒が特徴的な織物です。

※久米島紬事業協同組合のHPから拝借
絣柄にもよりますが、最近私がちょっと気になっている紬の一つです。

②宮古上布
沖縄本島から南西に約290㌔に位置する宮古島は、観光地としても大変人気の海が美しいことで知られる島。ここで織られる伝統的な織物の一つである宮古上布は、現地で採れる苧麻(ちょま)を原材料にした経糸と緯糸を使用した夏の最高級織物。


※日本大百科全書より拝借

大変細い糸で織られているのが特徴で、写真のとおり、琉球藍で染められた深いブルーに絣織りが宮古上布の定番です。いつか着てみたい、憧れの夏のきものです。

③読谷山花織(ゆんたんざ はなうい)
沖縄県中頭郡にある読谷村で織られる織物で、その明るい色味とおおらかな柄付けが特徴。花織というのは、紋組織を指し、制作途中で糸を組織から外すことで浮織りになる部分によって模様が作られていきます。

※青山伝統工芸スクエアHPより拝借

④読谷山みんさー
同じく読谷村で生産される綿糸を使用した細帯で、「グーシ花織」とも呼ばれ、模様を作るために花織と同様に花綜絖を用います。

※青山伝統工芸スクエアのHPから拝借

⑤琉球絣
沖縄本土南部に位置する南風原町(はえばる)でそのほとんどが作られている琉球絣。日本全国に絣柄と言うのはありますが、そのはじまりはこの琉球絣と言われています。風土や土地柄に根ざした600以上の絣柄が魅力です。


※南風原町観光サイトから拝借

⑥首里織
首里と聞いて思い浮かべるのが首里城ではないでしょうか。首里とは那覇市にある一地域のことで、かつての琉球王国時代、首里王府の城下町として栄えた町です。首里では、王府の貴族、士族用に、色、柄ともに究極まで追求された格調高い織物が生まれ、現在にも織り継がれています。紋織から絣に至るまで多彩に織られるのが首里織りの特徴。その中でも、花倉織りや道屯織(どうとんおり、ロートン織りともいう)は王家、貴族専用とされ、首里でしか織られませんでした。


※那覇伝統織物事業協同組合のHPから拝借

今回の旅で、改めて私が魅了された織物の一つです!

⑦与那国織
与那国は、日本の最西端にある国境の島!ここで生まれる織物が与那国織です。与那国織は、昔は役人にのみ着用が許されたという幾何学模様の紋織が小花のように可憐な与那国花織、豊年祭などの祭りに着用される与那国ドゥタティ、植物染料で染めた色糸を織りこむ与那国シダディ(手ぬぐい)、ミウト(夫婦)などの絣模様が美しい与那国カガンヌブー、の4つに大きく分かれ、豊かな織物文化を今に伝えます。(与那国町伝統織物協同組合HPより)


※与那国花織 徳美工房さんのHPから拝借

⑧喜如嘉の芭蕉布
これは、ご存知の方も多いかもしれませんね。今回は、足を伸ばせなかったのですが、こちらもいつか伺ってみたい場所です。沖縄本土の北部、国頭郡にある大宜味村喜如嘉で生産されている芭蕉布。バナナの仲間である糸芭蕉から生み出す極めて繊細な糸で作る織物です。現在でも、夏のきものや帯で大変人気を誇っています。

 

※喜如嘉の芭蕉布保存会のHPから拝借

⑨八重山上布
八重山上布が生まれた八重山列島は、南西諸島西部の石垣島、竹富島等を擁する島群です。宮古上布と同様に苧麻を主原料とした白上布で、焦げ茶の絣模様がくっきりと浮かぶ清楚な白地は、夏物着尺として人気です。近年では、経糸にラミー(手紡ぎでない紡績糸)を使用することも多くなっています。


※青山伝統工芸スクエアのHPから拝借

⑩八重山みんさーー
主に石垣島や竹富島を生産地として作られている八重山ミンサーは、素材が木綿、組織が平織りで、最大の特徴は、五つと四つの絣に「いつ(五つ)の世(四つ)までの、末永く、、、」という想いが込められていることなの出そう。半幅や八寸帯、または男性用の帯に人気。


※みんさー工芸館のHPより拝借

⑪琉球紅型
 冒頭に紹介した沖縄唯一の染物です。
その華やで鮮やかな色使いから、現在でも根強い人気を誇っていますよね。

⑫知花花織
沖縄本土の中央に位置し、王朝時代から交通の要所、王府首里を守護する要地として栄えてきた知花は、花織の里と呼ばれ、古くから「花織」の技術が伝えられ現在もこの地の織物として織られ継がれています。模様が縦方向に連続して浮く経浮花織(たてうきはなおり)と、刺繍のように糸が浮く縫取花織(ぬいとりはなおり)が特徴で、琉球藍で染められた紺地に絣、もしくは格子柄の組み合せに浮き模様と言うのが定番です。

※知花花織事業協同組合のHPから拝借

⑬南風原花織
2017年1月に国の伝統工芸品の一つに追加された南風原花織は、先にも紹介した南風原町の喜屋武、照屋、本部の3集落で織られ、100年以上の歴史を誇ります。明治の頃から、母から娘へ受け継がれる織物として伝統がつながってきました。組組織で構成された花のように美しい立体的な柄には、クワンクワン花織、ヤシラミ織、チップガサーと呼ばれる独特な名称や模様が存在します。


※青山伝統工芸スクエアのHPから拝借

沖縄の織物とひとくちにいっても、伝統工芸品に指定されているものだけでもこれほどあり、地域や原材料、織り方、組織によって様々であることをまず知ることが大切です。また、沖縄の織物については、その歴史も重要で、多くの織物は、14−15世紀の琉球王朝時代に東南アジアなどから伝わり、沖縄の地で発展を遂げてきました。しかし、その発展の背景には、鹿児島(島津藩)による重税が課せられ、貢納布として平民が生活のために必死に織ることでその織り技術が向上していったという歴史があります。

また、第2次世界大戦で戦場の舞台となってしまった沖縄では、その土地土地に脈々と続いていた工芸も壊滅的な状況となり、戦後、多くの人たちの絶え間ない努力によって復興した織物も少なくはないのです。

そういった背景を知れば知るほど、戦前の沖縄の工芸を直接見てみたかった!という気持ちにもなりますし、現在でも、その伝統を絶やさないように織物づくりに関わっていらっしゃる多くの方への尊敬の気持ちと、改めて多様な沖縄の文化に、興味を抱かざる終えません。

その土地の織物を知ると、その背景にあるその土地の人々の暮らしや文化に触れることが出来る、と言うのもこうした探訪の醍醐味なのかもしれませんね。
さて、今回の旅は、こうした沖縄の土地で、染織家として活躍する作家の皆さんを訪ねる旅でした。少しずつご紹介していきますね!

 

あこや

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