奄美大島への旅〜本場大島紬探訪〜 その⑪ A trip to Amami Oshima
大島紬の「マルキ」
大島紬が好きな方は、「マルキ」という言葉を聞いたことがあると思います。
マルキというのは、経糸1240本に含まれる絣糸の本数の単位(経絣の単位)。1マルキは絣糸80本を指します。7マルキ、9マルキ、12マルキ、の3種が流通している大島紬の中ではメジャーなものだと思いますが、9マルキは「本マルキ」と言われ、絣糸2本に対して地糸1本で構成されます。
1マルキで経糸の絣糸 80本
7マルキで経糸の絣糸 560本(絣糸2本に対して、地糸2本)
9マルキで経糸の絣糸 720本(絣糸2本に対して、地糸1本)
絣糸よりも地糸の数が多くなれば絣糸と絣糸の間があき、柄の細かさがなくなります。その逆で、絣糸の本数が増えれば、手も係り工賃も係り、おのずと柄が細かいものは高額になる、ということになります。
ちなみに、経糸の総本数を算(ヨミ)と言う単位で数え、1ヨミ80本。大島紬の場合の基本は、
【15.5ヨミ】=1240本(経糸) ※1cm幅に31本
例えば、7マルキの場合、先述したように15.5ヨミで絣糸は560本、ということになります。
なので、お店で「この大島は何マルキですか?」と問うお客さまがいるのは納得。結城紬で亀甲数を確認するのと同じ感覚ですかね。
この経糸の絣のマルキと言う考え方に、前回ご紹介したカタス式やヒトモト式といった緯糸における絣の技法が入ってきて、もうカオス。。。w 完全に理解することなど不可能!と言う気分になります。。。
さて、上記の写真は、何の説明をしているところかと言うと、「品(しな)」と言われる、繰り返される柄の数の単位について。ある幅の中にどれだけの柄が入るか。この品数が増えれば増えるほど、工数が係り値段に直結する部分なので、最初の設計時には、この品数の設定を留意されるそうです。
大島紬の柄と絣
- 龍郷柄(たつごう)
先述したとおり、大島紬の代表的な柄です。龍郷柄は一元絣で作られ、13ヨミなので13×80本で経糸1040本となります。
夢おりの郷の入り口に飾ってあった龍郷柄のきもの。解説によると、江戸時代に薩摩藩からの命により、奄美大島らしい柄を開発。ハブの背模様とソテツの葉をモチーフに作られた柄なのだそうです。
龍郷柄といっても、様々な模様があり何百種類もあると言われます。
こんな足マットにも!
40㎝幅の中でどれだけ同じ柄が続くかを「釜(かま)」と言い、たまに、きもの屋さんでも 「一元絣 市松3釜」と言うように模様を表現するのに表示する場合があるようです。
ちなみに「玉」とも表現する地域があり、同様に柄の大きさを表す数字で、柄のある数を表します。数字が小さくなるほど柄が大きくなると言うこと。
- 秋名バラ
写真がぶれてしまいましたが、こちらも奄美大島で織られる大島紬の代表的な柄「秋名バラ」です。
とてもユニークな柄ですよね。
秋名バラも、近年生産が少なくなっている柄だそうです。龍郷町秋名集落と言う場所で作られていた柄で、代々口伝で作り方が受け継がれてきた図柄。設計図を描かずに制作するのは、作り方が漏れないようにするためだったとか。
その結果、後継者が育ちにくい問題があり、現在の生産量につながっていると、南さんはおっしゃっていました。
柄の由来は、「サンバラ」と言われる竹かごから取った模様と言われています。
- 西郷柄(男物)
格子の中にさらに細かい絣柄が入る緻密で複雑な織。かつての大島紬の生産量の4割が男物だったそうです。現在は、男物の生産もぐっと減ったとか。
ここまで長々と、奄美大島探訪記を書いてきましたが、一応、ここで一段落。ここまで長々と、皆様お付き合いありがとうございました☆
あこや
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