奄美大島への旅〜本場大島紬探訪〜 その⑩ A trip to Amami Oshima

こちら、南会長の奥様 あいこさんが作業されているのは、先ほど図案に合わせて並べられた絣糸を、機織りのために糸を準備する作業です。

こんな風に、床に座って自分の頭の高さ位までの大きさの機械を巻いていきます。「揚枠(あげわく)」と言って、16本がひとつの束になっている緯(よこ)糸を、「杼(ひ)」に巻く前の一本に分ける作業のことです。

愛子さん、歌を歌いながら作業します。奄美大島の島唄です。

こうやって足を使って、手を使ってくるくるっと撚りをかけ、右奥のような糸束(1房)にしていきます。

こうして糸束が、機織りに運ばれます。

 

大島紬 制作工程⑤《機織り》

さて、やーっと機織りです!やっとですよ!皆さん。

こちらは、既に機織りが始まっている機の写真を撮らせて頂きました。経糸の部分。この模様が見えるのがタテ絣糸。下の方に見える黒い糸がタテ地糸です。

この絣糸で織り出そうとしているのが、本場奄美大島紬の伝統的な柄である「龍郷柄(たつごう)」です。今回お邪魔している夢おりの郷があるのが龍郷町。まさにここは、この龍郷柄、発祥の地。

この写真は、織り子さんの座る位置から撮ったもの。

細かい柄が緻密な絣合わせによって生み出されています。

 

大島紬 絣の技法

大島紬は4つの糸から成ります。この4つの糸を駆使しておられるのが、経緯絣です。

●絣糸(柄糸) ー 経糸・緯糸

●地糸(無地) ー 経糸・緯糸

経緯絣はどんな技法で織られたかによって、ひとつひとつの絣そのものの形が違い、結果、模様全体の見え方も違ってきます。どんな技法があるのでしょうか。以下は、緯糸の中の絣糸の配列の種類です。

● 片ス式(かたす式)
片割れ、とも言われ、模様はT字の様に見える絣。経糸と緯糸の撚りの回数が異なり、
経糸 1m300回、緯糸 1m 100-150回。織物としては、撚りがあまり入っていない方がしなやかだが、丈夫にするために撚りを掛けます。

これが片ス式で織られた絣です。T字にみえますよね?

絣の作り方:タテ絣糸1本とヨコ絣糸2本の交差で、1つの絣を作る。
絣の見え方:Tの字型の絣

●一元式(ひともと式)
大変高度な技法と言われ同じマルキ数(絣糸の単位)なら、片ス式よりも模様が細かく立体感に見えます。模様は十字。

絣の作り方:タテ絣糸2本とヨコ絣糸2本で、1つの絣を作る。計4本の絣糸を合わせて1つの絣を作るため、絣を合わせるのが難しい。
絣の見え方:風車のような十字の絣

● 割り込み式
「割り込み絣」とも呼ばれる。今、奄美ではほとんど作られておらず、主には鹿児島での生産になっています。大変難しい技法で、熟練の織り手でも織れる人が限られているそうです。

絣の作り方:タテ絣糸2本×ヨコ絣糸2本、タテ地糸2本×ヨコ地糸2本、タテ絣糸1本×ヨコ絣糸1本、タテ地糸1本×ヨコ地糸1本、を繰り返す。4種の絣が作れる。絣糸の数が変わるために絣合わせが難しい。
絣の見え方:Tの字と十字が重なったような複雑で立体感のある絣

 

つづく。

 

あこや

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