奄美大島への旅〜本場大島紬探訪〜 その⑤ A trip to Amami Oshima

本場奄美大島紬の検査場見学

本場奄美大島紬の検査場も見学させてもらいました。

本場大島紬の組合内にある施設で、各織元から持ち込まれた反物を、検査員の方が目で見て触って検品していきます。

こちらが長い反物をチェックしていく検査台です。

立派な看板の下に、丸いマークが見えますが、あれは地球マークで奄美大島を産地とする本場大島紬の証紙のマークです。後述しますが、この証紙、大島紬を買う時はよーーーく、チェックして下さいね。

 

大島紬の条件

大島紬の規格、と書いてある紙が貼ってありました。反物の長さ、重さ、男女ごとの幅が決められていますね。

そもそも大島紬ってどんなものを指すの?ということで大島紬の定義をご紹介します。

  1. 絹100%である
  2. 先染め手織りである
  3. 平織りである
  4. 締機(しめばた)で手作業により、(経、緯)絣の加工をしたものである
  5. 手織りで(経、緯)絣を絣合わせして織り上げたものである

こうした定義というものは、一応定めてはいるものの、市場ではこの条件にあてはまらない「大島紬」と表示されて販売されているケースもあります。なので、大島紬に関わらず、各産地の組合では、証紙を反物につけてお墨付きを付けた状態で出荷するんですね。

さて、こちらが検査員の方。

このように、自分の目の前にながーく反物を広げて品質をチェックしていきます。

スルスルっと奥のほうへ反物を送り込みながらあっという間に一反チェックが終わります。

これでわかるの!?という感じですが、触っただけでかなりのことがわかるみたい。

チェックが終わった反物には、検品済の印にハンコが押印されます。

もし、不良点が見つかればそれがわかるようにハンコを押すんだそうです。

面白かったのは、証紙はそれぞれ織元が組合に証紙代を支払って、予め組合に束で渡しておくんだそうです。それを検査員の方が検査が終了すると、それぞれの織元から預かっている証紙を反物に貼って、出荷となるそうです。

検査には、いろんな方法があります。下記の写真は、反物の強度を調べているところ。

簡単に破れないかどうかのチェックです。

 

大島紬の証紙

ちょっとややこしいのが、「本場大島紬」という言葉には鹿児島産のものと奄美大島産のものとざっくり2種類あるということ。ご存知でした?宮崎県でも最近は生産されているようなのですが、ここでは割愛。

歴史を紐解けば、ルーツは奄美大島のようなのですが、戦争があったりして、奄美から本土の鹿児島へ移った織元たちが鹿児島で大島紬を生産し定着した、ということのようです。現在では、鹿児島産の生産量のほうが多いのだとか。

大島紬は、その昔、一世を風靡するほどの人気で、高級きものの代名詞。こぞって参入したい!という人がたくさんいてもおかしくはないですね。偽物が多いのも、ここが理由。かつては、韓国で偽物が織られ、消費者は混乱した時代もあったとか。

そういう事態を回避するためにも、これは正真正銘奄美大島産の大島紬ですよ、とお墨付きをするのが証紙というわけです。

これが、本場奄美大島紬の証紙。検査台の中央にあったマークと同じで地球のマークが奄美産の目印です。


※出典:himemaru

先ほどご紹介した大島紬の定義には手織り、とありましたが、実際市場には機械織りの物もたくさん出回っていて、手織りと区別するために証紙は別途存在します。

一方、こちらが鹿児島産の本場大島紬。ベースはブルーで、日本の国旗が目印です。


出典:himemaru

これも機械織りと分別されています。

また、大島紬で欠かせない泥染。それを保証する証紙もあるんです。


出典:himemaru

一言で大島紬、といっても様々な種類があります。販売している小売店さんでも詳しくない方も多く、わざわざこれは奄美大島産ですよ、なんて教えてくれるとも限りません。購入する際は、手織りなのか、泥染なのか、など、証紙を見て確認する事が重要ですね。

 

つづく。

 

あこや

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