京絞り 寺田「茶席の着物と帯展」〜その②〜Tea ceremony and Kimono exhibition by Kyoshibori Terada

裏千家 北見宗幸先生とは、先日お邪魔した友人の還暦茶会でお会いしたばかりでしたので、またこの日もお会いできて嬉しかったです。



寺田さんと3人で。

寺田さんは、ご自分の作品をお召しですが、北見先生は黒の十徳(じっとく)を羽織られています。

十徳というのは、羽織の形に似た上着で、男性が小袖(こそで)の上に着用するものです。生地は絽を用い、胸紐は直接に地に縫い付けられています。もとは僧侶の衣服で、江戸時代には医師、儒者、茶人、絵師などが外出に用いました。現在では、茶道の宗匠などの限られた衣裳になっています。

さて、トークショーでは、お茶席の装いの話に、、、

このテーマで悩まれている方、本当に多いと思います。

そもそも、着物が着たいからお茶を始めた、とか、お茶を始めたから一人で着付けができるようになりたい、という方は私の周辺にも非常に多いです。

北見先生曰く、原則、お茶席にお客様として伺う時は着るものは自由!

ただし、お茶席で一番はお道具である、ということを理解すると、何を着ていけば良いかが自ずと判断できるはず、と北見先生はおっしゃいます。

それは、椿のお軸がかかるときに、椿の帯を締めるのはどうか、とはた、と考えるということです。主役は亭主が取りそろえた茶室のお道具たち。亭主の心づくしに水を差さないように、という配慮ですね。

まあ、事前にどんなお道具が並ぶかはわかりませんから、バッティングしそうなものは控えるということなんでしょうか。

寺田さんからは、絞りもダメと言われることが多いけど、やはりダメなの?!という質問も出ました。

繰り返しになりますが、装いの判断基準は非常にシンプルで、亭主、お道具に敬意を払い、華美なもの、色が華やかなもの(昔、畳は膝をこすってにじる際に、色が畳につくことを嫌ったため、藍を使った着物などもNGという時代もあった)を避ける傾向あります。

その結果、どちらかというと、落ち着いたものが好まれるわけですね。そういった意味でも、絞りはあまりお茶には向かない、と判断される方もいらっしゃるんだと思います。

「とにかくご自分が習っている先生に、何を着ていったらよいか、聞くのが一番ですよね。」と寺田さん。

確かにそれが一番安心ですよね~。

ですが、最近では、お茶の先生方も様々だそうで、お着物をたくさんお持ちでお着物の経験が豊かという先生ばかりではないかもわからない、というお話もでました。

なるほど~。昔ながらの毎日きものを着ているような先生方は、今は少ないのかもしれませんね。

お稽古の時はお洋服でされるという先生もいらっしゃいますし。そういった状況下では、お茶席にはこういう装いで、という定式化したルールが逆にありがたく、結果、お茶席での装いが割と通り一辺倒になりがち、なのかもしれません。
(もちろん、それが悪いということではありません!ルールを重んじる美意識もありますから)

でも、世の中、誰が決めたのかな、、、というよくわからないルールが存在して、それになんとなく従ってた方が安心、という空気感ありますよね。

日常の着物でもそうです。
例えば、訪問着というのも大正時代に三越が作ったもので、それまではなかった。そこから着物の格という考え方がどんどん定着して、着物というのは着たい時に着たいものが着られなくなった、という人もいるくらいです。

正式なお茶会では仕方がありませんが、個人で楽しむカジュアルなお茶席では、あまりルールを気にしないで、自由な装いを楽しめるといいですよね。

最後にトークされた皆様と。

皆様、ありがとうございました。

 

あこや

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