青山八木さんレクチャー第二回「きもの、初めの一歩」へ その① A lecture “Kimono A to Z” by Aoyamayagi

4月に引き続き、青山の人気呉服店 青山八木の店主 八木健司さんの着物レクチャー「きもの、初めの一歩」第二回に行って来ました。

前回の講義に引き続き、内容充実!とても勉強になりました。

しかし、この日の東京はものすごく暑くて30度越える夏日になったんですね。5月は、単衣を先取りする季節にはなったけれども、30度を超えて太陽がギラギラ射すような日は、一体何を着るのがいいのか、頭を抱えてしまいます。

そんな難しいこの季節にぴったりの「季節の装い」が今回のテーマでした。簡単ですが、講義メモの一部をご紹介します。

悩み多き季節の装い

きもの初心者にとって、「わからない!」「やっかいだ!」「覚えられない!」といった悩みの声が聞こえてくるのが、この“季節の装い”ではないでしょうか。

きものが大好きになったら、きものを通年で楽しみたいと考えるも、着付け教室で一生懸命練習していたきものは袷(冬用:10月~5月)。袷の装いをひと揃え整えてから、ふと、単衣や盛夏のきものについて、そして袷の季節の中でも時期によって適切なものを選べるようになる必要があることに気づきます。

これがまた、結構知っておいた方がいいことがたくさんあって、混乱するんですよね!そんな大切なテーマについて、コーディネートという視点で八木さんが解説してくださいました。

■袷の季節には何を着る?

前提として、きものの季節感を考える時に、きものだけでなく、長襦袢や半衿、和装小物についても、ルールがあります。ルールと言うと堅苦しいのですが、洋服の時でも衣更えがある様に、きものにも衣更えがある、というだけのことです。

まずは、袷のコーディネート。結城紬をベースに考えます。

結城紬は、真綿で作られる冬の代表的な装いです。地機で織られるものは、軽くて暖かいおしゃれ着の最高峰ですね。さて、結城紬には、袷の長襦袢(写真左の暈し)に半衿も塩瀬を用いて、帯には手描きの更紗を。

次は、染織家の冨田潤さんのカッコいい帯を乗せてみましょう。

半衿と帯揚げは同じ素材のものを選ぶのが基本です。が、塩瀬の帯揚げというのはないので、縮緬ぽいシボが入ったものを合わせています。冨田さんの帯、素敵ですよね。一気に洗練された装いに。マット×マットの組み合せです。

こちらは、写真では見にくいのですが、帯を光沢のあるものに変えています。

マット×光沢、これも一つのコーディネートの型です。

さて、次は染の小紋でコーディネートを見ます。ピンクの呼び柄小紋に御所解(ごしょどき)の帯を合わせました。

一気にはんなり系コーディネートが出来上がりました。御所解の帯は便利ですよね。写真は素材が塩瀬ですが、縮緬素材のものも良く見かけます。縮緬タイプはカジュアル感が強くなり、塩瀬の御所解帯は、ドレッシーな印象を受けます。半衿と長襦袢は全て共通とお考えください。

■単衣の季節には何を着る?

次は、問題の単衣!まさに、今の時期(6月)ですね。単衣というのは、袷と薄もの(夏物)の間の時期に着る裏地がない着物の事です。最近では、5月のゴールデンウィークを過ぎた頃から非常に暑くなるため、5月の半ばから9月いっぱいまで、下手したら10月初旬頃まで単衣を着るという方も少なくないのです。

昔は、6月と9月に着るきもの、というイメージが強く、この時期だけのために単衣を作るのか、、、なんて思ったりしましたが、年間3ヶ月程度は単衣を着る時期になって来ていますので、やはり数枚お持ちだときものを通年通して楽しめるというものです。

  • きもの
  • 長襦袢
  • 半衿
  • 帯揚げ

上にあげたパートは、単衣の装いに入る際、注意してコーディネートが必要です。

こちらは、しけ引きの小紋を使った5月のコーディネート例です。単衣を着ていますが、まだ5月なので小物類は袷です。半衿は、楊柳か塩瀬。帯揚げも楊柳か袷もので合わせます。

右側に見えるブルーの反物は、長襦袢です。これは、八木さんおススメの未来襦袢という5月から9月まで盛夏も通じて着られるという優れものな長襦袢。薄手でありながら非常に丈夫です。私も愛用していますが、とても楽チンです!未来襦袢に袷用の半衿を付けて5月は過ごします。ブルーの帯締めが夏を先取りしている感じで涼しげですね。

この白地のしけ引きの小紋は、色合いもさらりとしているので春単衣にはぴったりですね。単衣と言っても、5月〜6月と9月〜10月ではコーディネートも変えるべき。春単衣は初夏らしさを、秋単衣は、秋から冬を感じさせる装いで。季節に合わせてのコーディネートを考えるのはとても楽しいものです。

6月に入ったら、絽の半衿に変え、帯揚げも素材変更。帯も夏帯を締めます。徐々に夏の装いに近づいて行きます。ちなみに、絽の半衿は、絽目が細かいものとゆったり大きめのものがあり、前者は割と普段着向き、後者は付け下げや訪問着に合わせて絽塩瀬などを選んで下さい。

では、秋単衣はどうでしょう?

こちらは、地機の結城縮。グレーに格子状にドットが入っていてすっごく素敵な反物だった!これまたすごいきものが出てきましたが、結城紬に比べて軽やかな結城縮も単衣にぴったりな素材です。こちらは色味が秋冬を感じさせるので、秋単衣に。乗せたのは、小島秀子さんのグレーの無地の帯。帯締めで秋色のアクセントを付ければ、シックなおしゃれ着の出来上がり。

それぞれ春単衣、秋単衣でコーディネートの違いを見てみます。やはり視覚的に爽やかで涼しげな装いの春単衣に対し、秋単衣は「冬の気配」や暖かみを表現していますね。

つづく


あこや

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