青山八木☆秋講座☆「きもの、初めの一歩」第2回 ~その③~an Aoyamayagi lecture
講義メモの続きです。
■コートいろいろ
- きもの衿コート

きもの衿コートは、非常にカジュアルなものなので、紬やカシミヤで誂えます。友禅のきものとは相性が悪いです。なるべく生地には、染めでも織りでも柔らかいものを選ぶこと。衿には、きものと同じで、バチ衿タイプと広衿タイプがあります。このコートの難点は、道行よりも着脱に手間がかかること。
- 道中着衿コート(道中着)
きもの衿コートと一見似ているのですが、きもの衿コートには衽があって道中着にはそれがないので、よりカジュアルな印象になります。前幅が広いのが特徴で短い丈で作る事が多いので、生地が短めでも作る事が出来ます。
- 防寒コート

カシミアで作るコートはあたたかく、防寒にはぴったり。しかし、洋服コートと違い通常の道行等ではかえりと呼ばれる表地が裏に返す部分を短くして軽くしているのが特徴です。

コートの衿を見ると、小衿の幅が通常より広くして、通常の道行衿ではなく胸元がスッキリ見える様にVネックになっています。

これは試作で終わったとおっしゃっていた衿の形をしたコート。衿の形が変わると印象も大きく変わりますね。

八木さんが見せて下さって興味深かったのが、経糸が絹、緯糸がカシミヤというコート生地。新たに制作したというこちらは、触ってみると非常に薄くて軽やか!私は、コートの厚手な感じがきものの上に着るものとしてあまり好きでないので、この生地は魅力的だな!と思いました。
また、こんな生地も見せて下さいました。

この輪奈ビロードは、暖かくてボリュームがあってしかも軽いと言う素材。こういう生地もコートに向いているそうです。
コートを誂える時に大切なことは、
①生地がやわらかいこと
②生地が軽いこと
③必ず仮縫いをすること
特に仮縫いについては、身丈と裄、立ち衿下がりの長さがポイント。体格によって結構変わってくるので要注意です。
雨ゴートはきものをすっぽり隠すフルレングスなので、前と後ろの長さも体型次第で変えるそうです。生地としては、しじら織や花織風な反物で誂えると軽くておススメだそうです。ただし、薄物の生地やお召、重たい生地は向かないのでNGです。

この格子生地は、夏用の雨ゴート生地。

これは一つ誂えておきたいですよね。ちりよけにも便利。
■羽織について
羽織は、コートと違って室内でも脱がなくてよいジャケットの様なものです(室内で着られる)。生地としては、とろっとしたやわらかいものが相応しいです。

羽織の場合、無地だと背中が広く見える(生地が平坦)ので、地紋があったり小さな飛び柄があったりするほうがよいそうです。羽織も仮縫いは必須です。特に、身丈(ひざ下)、乳の位置、身幅あたりが重要になってきます。

背中には刺繍紋を入れたりも。八木さんでは、気持ち裾すぼまりに仕立てるそうです。
羽織の最大の特徴は、羽織紐ですよね。

羽織を着る場合、羽織紐が帯揚げと帯締めの間くらいに入りますから、羽織紐の色味、帯、帯締めという全体でコーディネートすることが難しくもあり、楽しさでもありますね。
そして超重要なこととしては、この手の羽織は、紬や小紋の上に羽織るもので、訪問着や付け下げ等の上には羽織りません。知ってました?(笑)羽織って普段着のきものを少し格上げする様なイメージでしょうか。昭和に流行った黒紋付はまさに、お母さんが小紋や紬の上にさっと羽織って小学校の参観日や卒業式に行くと言った具合。日常着が略礼装になるって感じ?
受講者の方から「羽織はどんな時に着るんでしょうか?」という質問が飛んでいましたが、八木さんの答えは、「お洒落をしたいとき、帯を見せたい時ですかね」でした。
そう、確かに、森田空美先生のコーディネートを拝見すると、紬にとろっとした羽織をきて全ての調和がとれている美しさってあります。そして、羽織は道行と違って、帯が常に見えています。ですから、ここぞと帯を見せたいけれど、肌寒い日等は羽織がもってこい、ですね。
今日の講義で、新たにコートが誂えたくなりました。そして羽織についても、今回の授業はとても学びが多かったです。八木さん、ありがとうございました!
あこや
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