美しいキモノ・アカデミー×道明①「帯締めの歴史と今~帯締めと組紐をまなぶ~」

きもの雑誌「美しいキモノ」が主催の「美しいキモノ・アカデミー」に参加してきました。
今回は、帯締めの道明さんによる組紐の授業です。
会場は、美しいキモノを発行している出版社、ハースト婦人画報社内で行われました。



授業は、道明当主夫人である道明三保子さんによる講義が1限、2限目は道明の組紐教室の先生方による根付け紐をつくるワークショップと内容盛りだくさん!

※講義をして下さった道明三保子さん。
簡単ですが、講義メモです。

○組紐とは?
「編む」「織る」に並び「組む」という工程から生まれる「組み組織」をもつもので、組台と呼ばれる専用道具を使用し組んでいく。
現代使用されている組台は4つ:丸台・高台・綾竹台・角台

※写真は、ワークショップでも使用した丸台。

○帯締めの歴史
江戸時代、帯が幅広になり、長くなってくるとそれを押さえ、結び、固定するためのしごき、紐として帯締めは発達してきたと考えられている。19世紀にお太鼓結びが生まれ、その際、帯締めも登場したと言う説が一般的であるが、18世紀の天明年間の浮世絵に、しごきのようなもので帯を固定している姿が発見されており、一般の説より前に既に帯締めの原型になるものが存在していたのではないかと考えられる。

○日本の組紐の歴史と名品

名品の多くは、正倉院、法隆寺から発見されたもの。飛鳥時代まで組紐の歴史はさかのぼります。
※何点か紹介があった中からブログでは一つピックアップします。
ー飛鳥・奈良時代ー
法隆寺献納宝物「唐組垂飾」

唐組という組み構造から成る垂飾。この復元を、道明さんでは手掛けたそうですが、アーガイル柄のような菱形が特徴的な唐組の構造がよく見て取れます。実際は何に使用されていたかは、まだ不明だそうです。

おそらく輸入品であると推察される。撚り金銀糸を使用した華やかなもの。源流は中央アジアと考えられる。シルクロードの西域南道周辺で紀元前5~3世紀にウールの同様の組み組織が発見されている。

※左側が唐組の帯締め(私がこの日締めていた帯締めです)
この唐組という組み方は、平安時代になると「平緒」といって刀を下げるための公家男性の束帯に使用されていたものの構造によく見られ、正倉院に所蔵されている。

※道明製作 平緒
○古代からの組み方の種類
ー笹浪組:V字柄が美しい薄い平たい組紐
ー唐組:菱形が特徴的な組紐
ー奈良組:角組の一種で今回制作した根付け紐も奈良組
ー一間組、二間組:新羅組、高麗組などの平組の組紐

※上から、笹波組、唐組、冠組、奈良組(第41回道明組紐作品展より)
【角組】 ・奈良・角八つ
【二連角組】 ・冠・御岳
【十字二連角組】・丸源氏
【四連角組】 ・中尊寺
【六連角組】 ・四天王寺
【八連角組】 ・両面亀甲

帯締めの名称は、古代からの呼び名や、発見された場所にちなみ道明さんで命名し独自で呼んでいるものもある。

○組紐の美について
組紐の本質的な美しさは「構造の美」である。
ー実用性と審美性をかね揃える。
ー用途多様で時代ごとに用途を開発してきた。
ー諸分野と関わる:宗教、儀礼、芸能、服飾、調度
ー奥ゆかしい引き立て役
ー美を高める、美を洗練させる。
ー高度に洗練された美意識の世界

○夏の帯締め
道明では、夏用の帯締めというものはなく、薄くて幅狭く色が涼しげなものを使えば良い。

様々な構造、色彩の美しさには圧巻でした。ご紹介できていない内容もありますが、組紐の歴史や文化的意味合いは想像以上に奥が深かった!その意味で、道明さんが非常に重要な役割を担っていらっしゃることもよく理解できました。
まだまだ続きます!その②へ。

あこや

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