美しいキモノアカデミー江戸小紋 小宮康正氏〜その②〜 Edokomon Yasumasa Komiya

江戸小紋のルーツ

江戸小紋のルーツに迫ります。

防染糊で制作された現存する最古の型染といわれるのが、春日大社にある源義経(鎌倉1185-1329)が所用した籠手(こて)。麻地でどちらかというと長板中形に近いものだったそうです。


※家地浅黄麻藤巴文白抜き(神戸市文書館HPより)

この薄いブルーの生地の部分が該当部分だと思います。

小紋という視点で見ていきます。桃山時代に入ると、秀吉から下賜されたと伝えられる片倉小十郎所用の「小花小紋銅服」(麻地)や徳川家康所有の小紋小袖で「浅葱地 宝尽くし小紋小袖」(絹地)に小紋のルーツを見ることが出来ます。


※浅葱地 宝尽くし小紋小袖(和歌山市のHPより)

講義の際は、このきもののアップ画像を見せていただいた上で解説があったのですが、細かな文様でぎっしり埋め尽くされ、徳川家康としては自慢の品だったというお話がありました。一方、現代とは違って柄の染め出し具合はかなり粗い(雑?)ということでした。

この徳川家康のものは、尾形光琳の実家である京都の呉服商の雁金屋が制作している事が分かっているそうで、絹ベースの小紋と考えるとルーツはこの家康の小袖となります。
※このあたりの話は、武蔵大学の丸山伸彦先生の著書などが参考になりそうです。

 

江戸小紋の制作

  • 糊炊き

江戸小紋の制作に欠かせないのが糊炊きです。米糠7に対してもち米3、そこに石灰を少々入れ塩を入れたお湯を注ぎお団子状に練っていきます。蒸篭に入れふかし、手でこね=でっちる。

出来上がった糊は、板場の一枚板(もみの木)に反物を貼る(地張)時に使用されたり(生糊引き)、型紙を生地に載せる時にも糊で乗せます。

防染糊については、防染剤と活性炭をのりの中に練り込んでおき、群青と言う顔料を混ぜておきます。この顔料は生地に染まらないので防染糊に練り込む事が可能です。

  • 型紙

江戸小紋制作の要である型紙。これが無ければ、江戸小紋は制作する事が出来ません。この型紙を反物におく型付けという作業は、型の穴を均等に染めていくのに高度な技術が求められます。

これは小桜という文様の型紙。矢印が書いてある部分が星と言われ、この星同士を合わせる事によって繰り返し型置きが正確に行えるというものです。とても細かい柄ですが、桜の花びらが彫ってあります。

道具彫と記載されていますが、型紙を彫る技法のことで、その技法には4つあります。

◎道具彫り(剣菱など)
◎錐彫り(鮫小紋など)
◎引彫り(縞彫りともいわれる)
◎突彫り(沖縄の紅型も同じ)

それぞれの柄によって彫り方を変えていきます。

こちらは縞の型紙。

縞と縞の間に横に渡っている線が沢山見えますが、これは紗張りといって、細い縞の線の型紙を補強するために絹糸を横に張っているのです。

現在は、この紗張りが出来る人がいなくなって来ているそう、、、。ここにも危機が。(涙)

型染めの型紙の使い方には面白いものがあります。例えば、こちらの小紋。細かい模様が貝殻の絵にの背景や貝殻に染められています。

これは主型、消型という2枚の型紙を組み合わせて使う事によって上記のような柄が産み出されます。

中央から下が主型で型染めした反物。中央から上が消型で染めた反物。この型紙を同じ場所に型染めしていくと、最初にお見せしたような貝の文様の反物になるわけです。

つづく。

 

あこや

 

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