染織文化講座「産地研修 丹後」京丹後織物工業組合~その②~

丹後織物工業組合での丹後縮緬についてのレクチャーの続きです。

【丹後縮緬の生産のピーク】
丹後縮緬の生産のピークは昭和40年代後半の昭和47、8年。
白生地の生産数は、2014年で400,192反。これはピーク時のたった4.4%にあたり、生産量が激減していることがわかります。

よって、出荷金額、この組合員数、機の台数、国内シェア全てにおいてこの40年ほどで、縮緬生産の環境は大きく変化し厳しい状況にあります。一方、世界的に見ても、先進国における製織産業がこの規模で残っていると言うのは非常に稀であり、出荷量は激減しているとは言え、いまだに丹後の縮緬は一つの産業としてこの地に息づいているのです。

講義をして下さった組合常務理事の野村さんは、「丹後縮緬が伝統工芸領域として無形文化財に指定されないことを目指している」とおっしゃっていたのが印象的でした。それは、丹後縮緬が産業であると言う証であり、それが維持できる生産量は守っていきたいと話されていました。感慨深いお言葉!

【丹後縮緬の特徴】
丹後で生産される4割が紋織りのもの=ジャガード織と呼ばれるもの。
いわゆる、紋意匠縮緬がそれにあたる。

※こうした様々な模様が白生地に織り出される。

丹後では、強撚糸(撚りを掛けた糸)を使っているものを総称して丹後縮緬と称している為、素材がポリエステルやレーヨン、綿であろうが、それらを総じて丹後縮緬と呼ぶ。

【縮緬の産地】
丹後(無地・紋意匠縮緬)
長浜(無地)
北陸・小松(綸子):襦袢や裏地用であったがかなり規模は縮小している。
新潟・五泉(絽・紗):夏物
但馬(出石縮緬):現在ほぼ無い。浴衣等を現在は生産している。
福井(羽二重):礼装用の喪服や裏地

【輸入ものとの比較】
近年、中国などから安価な絹糸や白生地が多く輸入され、現在国内シェアの8割程度が輸入織物と言われている。

【組合で製造している絹の化粧品】
絹は絹タンパクである「フィブロイン」と「セリシン」で構成されており、フィブロインが反物に成る部分。残りの精神は保湿性が高く抗菌効果がある人に近いタンパク質を持っていると言われ、この組合では化粧品として商品化し販売している。

以前、結城紬の製造に携わっている方の手が白くてつるつるしていてムチムチしていたのを思い出しました。水につかった蚕玉から糸引きする姿に、「手が荒れますよね?」と質問したら、「とんでもない!その逆だよ」と言われたなぁ。※上記はその時の写真
こちらがそのお化粧品だそうです。オンラインでも購入できますよ。
「きぬもよふ」→http://www.kinumoyou.com/

たしかに試させていただいたんですが、とってもツルツルさっぱりしてて付け心地も良かったです。

さて、次はいよいよ加工場へと向かいます!

 

あこや

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