染織文化講座「産地研修 丹後」丹後縮緬中央加工場を見学!~その③~
丹後織物工業組合の同敷地内にある中央加工場で、実際に、縮緬の反物が出来る過程を学びます。
こちらが加工場。
入り口を入ると右側に丹後機業のあゆみという年表が。
スタートが710年の平城遷都から始まってる!(笑)どんだけ歴史がある産業なのかが推察できますね。この工場内では撮影が出来なかったので、一部、パンフレットを使って縮緬の出来るまでをまとめます。
この工場内では、精錬のところから実際には現場を見せていただきましたが、わかりやすいように生糸の段階から工程を記します。
【ちりめんのできるまで】
【①生糸】
縮緬の原料となる生糸は、製糸工場からこうした状態で加工場へ送られてきます。
【②糸繰り】
工場に入ると機械の大きな音!
まず最初の工程は、生糸をボビンに巻き取ります。この作業が完全でないと、その後の作業に大きな影響が出るそうです。
【③整経】
次は、経糸を織機に仕掛ける準備をします。ボビン枠に巻かれた120−200本の糸を一度にドラムに巻き取り、さらに、男巻というビームに30−50反分を巻き上げます。
緯糸に撚りをかける作業。
丹後縮緬の特徴は、シボ、ですよね。このシボのもとが撚りを掛けた糸なのです。
この写真は、丹後独特の八丁撚糸機をつかい、水を注ぎながら、糸1mあたり3000−4000回の強い撚りを掛けてシボのもとを作っています。
【⑤製織】
糸を織機に掛けて、織の作業に入ります。紋縮緬の場合は、ここでジャガード機を使い経糸と緯糸で美しい模様を出していきます。
【⑥精錬】
織り上がった縮緬の、セリシン(にかわ質)や汚れを洗い流します。10反をミシンでつなげて、70㎝幅に屏風だたみしたものを釣り、コスト削減の意味もあり、60−80反をいっぺんに液体につけて精錬します。精錬は、全行程(あら練り、本練り、漂白、仕上げ)で約8時間。あら練り、と言うのは、あくを取りながら色むら防止の役割があります。浸ける液体は、100度くらいの温度のアルカリ性の液体だそうです。
この作業を経てようやく、独特の風合いを持つ純白のやわらかな縮緬となります。この精錬と言う工程を経ると、撚りを掛けた生糸が戻ろうとし、あのシボがでてくる訳です。そのため、反物自体がぐっと縮み、重さも1キロ程度あったものが750グラム程度になります。
【⑦乾燥】
精錬が済んだ縮緬を水洗・脱水し、乾燥機にかけます。乾燥方法によってシボや風合いに大きな違いがでるため、縮緬の種類に応じた最適の方法が採られます。120度くらいの大きな乾燥室からでてきた反物を触りましたが、まだ固く、縮んだ状態です。
【⑧幅出し】
乾燥後の縮緬は、幅・長さともに縮んでいるため、これを規定の幅・長さに整えます。
だいたい、38㎝×13m。2日間程度かけることもあるそうで、この組合にある幅出し機は日本一長いのではないかと言われています。
その後、熱を加えシワをとります。この時点で縮緬反物作りの97%の作業が終わると言われます。
【⑨検査】
出来上がった、全ての縮緬は、検反機にかけて一反ずつ厳重に検査します。
1日300反くらいを検査するそうです。汚れなどが見つかると、検査員の手元には針と糸がおいてあり、印を付ける様な流れになっていました。
【⑩出荷】
厳しい検査を受けた縮緬には、合格品は赤色、不合格品は青色、その結果を表示します。製品には、丹後縮緬の証であるブランドマークのハンコを押し、市場に送り出します。
このハンコも、手作業で行われており、やや驚きました。ハンコが3つ押されているのが、この組合の証。
工場内を案内して下さった組合の方は、工場内の作業は機械化はされているものの、生き物としての反物の取扱いは非常に大変で、天候や湿度によって長年の職人さんの感覚に頼るところが大きい、とおっしゃっていました。
工場内は、非常に暑く、夏の日の作業を想像すると、大変なお仕事だと痛感しました!
まだまだ続きます!
あこや
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