染織文化講座「産地研修 丹後」丸幸織物 at 丹後きものセンター(ダイキュー)~その⑤~

丸栄織物さんの講義の次は、丸幸織物さんから絹についての講義です。

絹が取れる蚕。絹と一口にいっても蚕には様々な種類があります。
下記の写真は、左から野蚕、少し小さい中央のが三眠蚕、一番右が四眠蚕の蚕です。

野蚕というのは、人が飼っている家蚕に対する言葉で、野生の蚕(外で飼われている蚕)を言い、すこし茶色っぽいのが特徴です。三眠蚕、四眠蚕、というのは、一般的に飼育されている蚕は四回の幼虫脱皮の後に繭を作る四眠蚕です。三眠蚕はその名の通り、三回の幼虫脱皮で繭を作るようになります。よって、繭玉自体が小ぶりで、この蚕から作られる繭糸は細くしなやかな絹糸となります。

これがそれぞれの繭から引いた絹糸です。色も違い質感も異なるのがわかります。

これは、四眠蚕糸。一般的に生糸と言われるのはこのタイプです。太さは3デニールと言われます。ちなみに髪の毛が50−100デニールなのでその細さがわかりますね。

これが三眠蚕糸。触り心地はやや柔らかい感じがしました。糸が細いです。1.6−2デニール。

これが野蚕糸。かなり野性的な触り心地と言いますか、色も茶色っぽいです。太さは3.5−4デニール。

そしてこの黄色い糸は黄金糸。群馬で生産されるブランド絹だそうです。

ツヤツヤしています。
一つの繭から取れる絹糸が1200−1500m、このかご一杯分で一つの反物が作られる量と言われており、約3000個あるそうです。

国産の繭の多くは群馬の安中市碓氷周辺で養蚕がされています。特徴としては、白度が高く、水分率も高い。セシリンも多いとされ、織るともちっとした柔らかさがあります。

よく、きものの着付けをしていると、きものがその重みでストンと裾すぼまりの美しい形になりますが、国産の絹糸で織られたきものの場合、重みが違うとおっしゃるかたもいらっしゃいますね。

絹糸は、蚕が作る繭糸を何本か合わせて一定の太さにするもので、この繭糸は、2本のフィブロイン繊維(約75%)と膠質のセシリン(約25%)で構成されていて、精錬とは2本のフィブロインを覆うセリシンを取り除くことを言います。

絹糸の特徴として、水分を含むと弾力性が高くなり、糸が伸びやすくなります。緯糸(ぬきいと:横糸のこと)に強撚糸を用いる縮緬を作る過程でこの絹糸の特長が重要な役割を果たします。
強撚糸を作る際、必要な本数の生糸を合わせた後に熱湯で煮ると、糸が伸びやすくなり、多くの撚りがかけられます。(糸が伸びる→糸の直径が小さくなる→撚りがかかりやすくなる)

更に暖めて柔らかくなったセリシンが、撚糸の後の乾燥で固まり、かけた撚りをそのままの形で固定することが出来ます。この強撚糸を織り込んだ後、精錬によって競りシンを取り除くと、固定されていた撚りが戻ろうとするのに加え、絹自体が伸びていたものが戻ろうとすることで横糸が縮み、更にセリシンが取り除かれた空間が織物の膨らみになり、織物の柔らかさなど縮緬特有の風合いを作り出します。

このグレーの反物は、模様が美しく浮き上がっていますが、これは、模様の部分に野蚕糸を使用し織り出したものだそうです。

野蚕糸の染まりにくいという特性を利用した反物です。白生地を製作し染め上げたものだそうです。

さて、今回も研修に参加されていたお仲間の素敵なきもの姿のご紹介です!

素敵な花織のきものをお召の上品な方〜☆

薄いグリーン地が春の光に爽やかで、着付けも美しいので着姿がすごく素敵でした!

 

あこや

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