沖縄への旅☆琉球の織物を訪ねて☆宮古織物事業協同組合~その⑬~ Discover the okinawa weaving

宮古上布の制作工程を見ていきましょう。

【重要無形文化財「宮古上布」指定の要件】
前回のブログでも触れましたが、以下の条件を満たしたものだけが、検査所にてチェックを受け証紙を貼られ「宮古上布」として市場に出て行くことになります。

その条件とは。。。
①全て苧麻を手紡ぎした糸を使用すること。
②絣模様をつける場合は、伝統的な手ゆいによる技法、または、手くくりによること。
③染色は純正植物染めであること。
④手織りであること。
⑤洗濯(仕上げ加工)の場合は、木槌による手打ちを行い、使用する糊は天然の材料を用いて調整すること。

とにかく全て手作業で昔ながらでやってくださいよ!ということなのですが、これだけ見ても大変さが想像できますね。一つ一つ工程を追いながら確認していきます。

【宮古上布の制作工程】
宮古上布の制作工程は大きく分けて6つのパートから成り立っています。

①糸づくり:苧麻糸手績み(ちょまいとてうみ)
宮古上布の命ともいうべき糸づくりは、特に時間と熟練を擁する技術です。そのしなやかな極細の苧麻糸は、トンボの羽のようであると言われる宮古上布最大の特徴です。

まずは苧麻畑で苧麻を刈取り。昔は、糸を績むひとが自分の裏庭などで糸を作るように制作していたのが当たり前だったようですが、最近では苧麻畑を所有する専業の方がいるようです。

※ブーサキ

刈り取った糸は「ブービキ」という繊維を取る作業をし、乾燥させます。乾燥させた苧麻を、水に浸して湿らせ爪や指を使って細く裂き、経糸は髪の毛ほど細く、緯糸はそれよりもわずかに太めに裂いていきます。これを「ブーサキ」といいます。


※ブーンー

ブーサキが終わると、撚り継ぎ(ブーンー)といって、結び目を作らずに裂いたブーを撚って繫いでいきます。この繋ぎ方が、経糸と緯糸でやり方が異なる、という所が驚異的です。

※ツンギ

次は撚り掛け(ツンギ)。撚りつなぎが済んだ糸を糸車を使って撚り掛け切れにくい糸にしていきます。そうした糸は、経木掛け(カシカキ)といって、織るための長さと本数を整えます。

※カシカキ

②デザイン:図案作成

宮古上布では、自然や生活の中から発想された絣模様が多用されますが、その数は数百種類あると言われています。絣図案集、古裂地などを参考にしながら図案を考え、イメージが固まったら織り巾を想定した方眼紙に描いていきます。

制作工程のお話を伺っていて、一番、気が遠くなりそうだったのが、絣括りの工程です。図柄は、絣模様で描かれますから、図柄が複雑になればなるほど、絣くくりの作業も膨大になっていきます。

これは実際に、組合に置いてあった締機(しめばた)。重要無形文化財指定の要件では、絣模様をつける場合は「手括りによること」とありますが、こうした締機を使う「機締め」という方法もあるんです。機締めの方法は複雑で細かい絣模様に適しているそう。現在、宮古上布の紺十字絣は主にこの方法に撚り作られています。

つづく

 

あこや

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