沖縄への旅☆琉球の織物を訪ねて☆染織家 山口良子先生~その④~ Discover the okinawa weaving

織っている所をひとしきり解説して下さった山口先生。
まあ、お茶でもお飲みなさい、と先生が出して下さったお茶と素敵なお茶受け♪



黒糖~~♪

ああー!沖縄にいるんだ!とすごく実感した瞬間でした。
これがまた、すっごく美味しくって(涙)絶対に買って帰ろうと思いました(笑)
お茶を頂きながら、先生にいろいろと話を伺いました。

【なぜ染織の道へ?】
山口良子先生は、会社員時代を経て、28歳の時に婦人就業センターというところで染織を学び、その後、人間国宝でもあった宮平初子さんの工房に入られ修行を続けます。安定した会社員生活から、なぜ染織の道へ?

「なにか、自分の手に職をつけたかったの。一生出来る仕事をって」

なんかすごく共感した一言でした。

女性って、しばらくお勤めをしていると、このままでいいのかしら、とか、そんなことを思うタイミングってやっぱりあるんですよね。そんな時に、これだ!と思った道にきっぱりと進むことが出来た先生は、本当に女性としてもかっこいいな、と思いました。

「今と違って、宮平先生は、教えてくれると言うことはなくて、先生のアシスタントとして仕事を

手伝うということだったから、見よう見まねで仕事を覚えていった」と語る山口先生。

その後、10年ほど、婦人就業センターで織り子の育成に講師として携わりながら、40歳になる前に、自らの工房を立ち上げ染織家として活動を続けてこられました。若い時から、技術者の育成に従事されていた先生のもとには、工房立ち上げ後も多くの後輩が門戸をたたき、育ち、独立されていっており、その意味でも、山口先生の存在は偉大だな、とお話を伺っていて感じました。

【制作工程について】
先生の創り出す織物は、その美しい色の配色が魅力の一つですが、工房の棚にもたくさんの木枠に巻かれたカラフルな糸が置かれていました。先生は、天然染料も化学染料も使われます。両方を掛け合わせて使うこともあるそう。

「全ての色が好きだけれど、ベビーピンクや梅で染めた色も好きだし、沖縄の色も好き」とおっしゃる先生。

まずは設計図を描いて、糸を染めて、十分に準備をして機を動かしていくのだそうです。設計図に使用する方眼紙は、1㎝に16羽(羽とは、経糸を整え織り幅を決める筬(おさ)という木枠の櫛状の目のこと)という先生オリジナルのもの。それに、織り出したい文様を丁寧に描きます。

そして糸を染める作業。

まずは、染料となる原液を作ります。先生は「染料は使い切りたいの」、ということで、煮出しながら煮切って色が出なくなるまで、染め続けるため、例えばブルーなら、最初は濃い深い色合いから、徐々に薄くなって、最後はブルーのグラデーションができるほどの染め糸が!それもまた楽しい作業なんですって。

肝心の染める糸については、いくつか見せて下さいました。

右から、精錬前の生繰りの糸(蚕が糸を吐き繭を作ってから繭の蚕を生きたままの状態で1週間以内に糸を引いた非常にフレッシュな糸のこと)、中央は精錬後の生繰りの糸、左は群馬の生繰りでない通常の絹糸。中央の糸は、白さが際立っていますね。美しいです!糸もどういった作品にしたいのか、それによって選び、染めるんだそうです。

デザインが決まり、糸が決まったら、いよいよ機の準備です。
工房のすみに置かれていたこちら。

確か、筬通しの準備をされている所、とお聞きしたような、、、。間違ってたらごめんなさい。

花織は、花綜絖という花織の模様組織を作るのに必要な道具を準備して、機に設置して織っていきます。これでどんなデザインになるかが決まる花織独特のパートなのですが、こうした機の準備を整えてからやっと織る作業に入ることが出来るという、事前の準備が大切なのが機を織るということなんですね。

さていよいよ織り。こちらは山口先生の機。

2本の杼(シャトル)が見えます。この杼は、上下に高低差をつけられた経糸の間に緯糸を通すための道具で、中に見えるのは緯糸が巻かれたボビンです。先生は、この2本使って織っていらっしゃるんですね。

2本使用する理由を先生にお聞きすると、
耳(反物の端)が綺麗になるのと色むらの調整が出来るからなのだそうです。

こうやって先生の美しい作品は、ガタンガタンと良い音をたてながら、生まれてくるんですね~。

つづく

 

あこや

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