【きもの探訪】勝山健史 糸へのこだわり その⑤ Takeshi Katsuyama : The essence of a work

塩蔵する繭

勝山さんの繭の特徴は「塩蔵」すること。そう、塩漬けです。繭の塩漬けって、ちょっと驚きですが、その効果は勝山作品には必要不可欠のようです。実はこの塩漬けという手法は、古来から行われていた方法で、糸が柔らかくなり、きものになった時に、時を経て、着る人の身体にどんどん馴染んでゆくという不思議な効果があるそうです。

工房内のある部屋では、塩蔵後の繭が置かれていました。

網網の上で乾燥している最中。よく見ると、繭の表面に塩が見えます。

塩蔵のために振られた塩です。

塩蔵は、大きな樽(バケツ)に布を挟みながら塩と繭を交互に重ねて塩漬けにして行きます。しばらくすると水分が出て中の虫が死にます。その後乾燥させて坐繰り(糸を引き)に入ります。

 

昔ながらの坐繰り

勝山さん、何やら作業台の前に座られていますが、これはなんでしょう。

これは、昔ながらの坐繰り(糸引き)の作業をするための装置です。右側の茶色い木造の箱は、こちらの工房の職人の方の手作りによるもの。勝山さんのところで育てた小ぶりの塩蔵繭から綺麗に糸を引くために様々な工夫が凝らされた装置になっているそうです。

これも気が遠くなるような作業ですよね。この木造の箱の突先には、実は鉱石の瑪瑙(めのう)がついていて、糸をスムーズに運ぶなどの効果があるそう。これにはびっくりしました。

手回しの坐繰り器で好みの太さの糸を紡いで行きます。

さて、こちらの機械は何ですか?

これは、とても古いかせ上げ器!かせ(綛と書きます)、とは、紡いだ糸を捲き取る道具です。勝山さんの足下にある4つの柱を持つ道具、これが綛です。

これに糸を巻き付けて行く機械がかせ上げ器。とにかく道具も昔ながらのものが各所に置いてありました。

次はいよいよ織機の出番です!

 

つづく。

 

あこや

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