【きもの探訪】勝山健史 糸へのこだわり その② Takeshi Katsuyama : The essence of a work
美しい桑の葉
ここは、ワイナリーですか?いいえ違います。桑畑です。。。w
まるでブドウ畑を背に、「今年のブドウはね。。。」なんて語っていそうな勝山さんですが、皆さん、こちらはぜーんぶ、桑畑です。
そう!蚕が食べる桑の葉を育てている桑畑です。蚕は桑の葉をたくさん食べて大きくなります。
中学生の時、理科の時間に「蚕を育てる」という授業がありました。ひとりずつに子どもの蚕が渡されて、繭を作って成虫になるまでを観察せよという授業でした。校内には立派な桑の木があり、葉っぱを取りに桑の木に毎朝通ったのを覚えています。
でも、勝山さんの桑畑は木じゃなかった!私は身長が165センチですが、胸の高さくらいまで育った桑の株がダーっと並んでいました。
桑畑を見たのは初めてでした。
ふと隣に目をやると。。。
少し背が低い桑の株が整然と並んでいました。
背が高い桑と低い桑。この違いは何なのかと勝山さんに訪ねると。。。
「背が低い桑は、秋用の桑ですよ。」
と教えてくれました。勝山さんの説明を理解するために、まずは蚕の一生をさっと説明しておきます。
蚕の一生
蚕は、およそ3週間ほどで大人の蚕に成長します。
※kaikokau.jpより
なるべく可愛い図を選びました(笑)。
蚕は、卵から数回の脱皮を繰り返して大人の蚕になって行きます。繭を作る直前の熟蚕と呼ばれる5齢(令)では、6-7cm程度の大きさになるそうです。
約1ヶ月という案外早いペースで、大人になり繭を作る蚕。勝山さんのところでは(多くのところでそうなのかもしれませんが)、春と秋に養蚕を行います。それに合わせて、桑の葉も育てていくので、それぞれの時期に合わせて食べ頃の桑の葉が畑にあるように、作業を進めていくわけです。
先ほどの背が低い桑の株は、秋に育てる蚕用、というわけです!
農業そのもの
これが桑の葉です。
メープルの葉の様な形をしていますね。立派なものは私の手のひらくらいの大きさがありました。
この桑畑は、完全有機!勝山さんのところの蚕たちは、オーガニック桑の葉を食べて育つのです!
プレミアム!!
人間と同じで、食べ物で体が作られます。桑のクオリティが蚕の吐く糸のクオリティに無関係なはずがありません。健康な桑の葉を育てるためには健康な土壌を作るところから。勝山さんは、10年以上かけて、この土壌を作っていったそうです!!
農薬を使わない有機栽培ですから手がかかります。桑畑を最良のものにする。これはまさに農業!私達が手にする美しい絹織物は、こうした世界があってこそなのだ、と、真摯なものづくりの姿勢を貫く勝山さんに尊敬の念を抱かずにはいられませんでした。
つづく。
あこや
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