【きもの探訪】勝山健史 糸へのこだわり その③ Takeshi Katsuyama : The essence of a work
なぜ養蚕を?
もう3年前になりますが、森田空美先生のお教室の夏の会で勝山さんがゲストでお話をして下さったことがありました。その時の勝山さんの養蚕のお話は大変興味深く、今でも印象に残っているのですが、当時その内容をこのブログにも書かせてもらっていました。
この時にも、なぜご自身自ら養蚕を手掛けているのか、について語っておられます。
勝山さんのように絹織物に携わる仕事をしている方にとっては、日々様々な文化的なインプットが重要だと思いますが、勝山さんは、日本古来の素晴らしい絹織物の数々を博物館などに通い勉強をして行く中で、「なぜ、現代において、古の日本人が産み出した美しい織物と同じものが作れないのだろう、、、」という思いから、その違いは絹にある、とし、蚕を自ら飼い、絹を生産するところから着手しなければならないと考えたそうです。
与える桑の葉も厳選
復元のお仕事もされる勝山さんは、いにしえの絹を再現するために、様々な試みをしています。例えば、桑の株は一般的な桑畑よりも株と株の間隔を広く取り、また、蚕に与える桑の葉は、上の方についている太陽に良く当たって柔らかい葉のみを与えているそうです。
株の下の方の葉は、太陽が当たらず固いのだそうですね。柔らかい美味しいところだけをあげているなんて、やっぱり贅沢な蚕ちゃん達!プレミアム蚕ちゃんです。
美しいきものや帯がどのように作られているのか、製造工程に目は向けても、それぞれに使用される原材料がどこからどうやって出来ているのか、なかなか意識に止めることは少ないと思います。
こうして、絹糸から工夫を重ねて理想とする絹織物を作り上げたい、というそのパッションたるや!私はそんなに沢山持っているわけではないですが、頂いたきものや帯を一層に大切にしたいという思いが強まりました。
蚕のお家へ?
さて、桑畑から少し歩いたところに、小屋が。
うふ。この素敵な後ろ姿は、見学をご一緒したあの方♪
中に入ると、もわっとした空気が立ちこめ、がらんとした空間が。
実は、見学させて頂いた日、勝山さんの予定だと工房で生まれ少し大きく成長した蚕がこちらの小屋に移って来ている予定だったのだそうですが、まだ少し時期が早く、何もいませんでした。
この小屋から少し歩いたところには、ビニールハウスもあり、そちらも見せて頂くことに。
こちらにもまだ何もいないのですが、このビニールハウスは繭を作る段階に成長した蚕を置く場所なんだとか。なぜ場所を成長段階によって変えるのか、というのはスペースの問題と、食べる桑の葉の量が格段に増えるので、桑畑に近いところにこうした小屋を作っているのだそうです。
勝山さんが手で持っていらっしゃるグリーンのアミアミ。これも繭のお家になる仕切りだそうです。昔ながらのものは、左の麗子さんがお持ちのもの。
これなんていう名前なんだろう。w
さあ、次はいよいよ蚕ちゃんにご対面です!
つづく。
あこや
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