御召今昔【矢代仁】を学ぶ−その⑤– The Study of OMESHI

御召の製造工程

さて、最後は御召の製造工程です。矢代仁さんが持参されていたとても可愛い版画の絵を参考に説明していきます!

きものの命、蚕ちゃん。勝山さんの養蚕見学に伺った時のブログでも書きましたが、現代では昔のような細い糸が取れなくなっていて、国産の絹糸自体の生産量は1%以下。

現在、ほとんど輸入に頼っている絹糸市場ですが、その多くは中国やブラジルから入って来ています。丹後で白生地を学びにいった際に聞いたのは、輸入生糸の中ではブラジル産の絹糸が品質が良いと伺いました。

矢代仁さんでは、使用する原糸には21中以上の細い糸を使用します。しかも、生糸にもクオリティを表すランクがあって最高ランクの6AからA格、B格までがあり、5A、6Aランクの糸のみを使用されているそうです。この多くがというよりほとんどが輸入の糸なんですよね。

御召の要である撚糸。制作にあたり、経糸と緯糸づくりから始めるのが御召の特徴です。どんな御召を作るかによって、経糸の撚りの掛け方が変わります。ものが違えば、経糸の種類が全部違う!風合いが異なってきます。

例えば、駒撚は1000〜1500回撚りを掛けることによってシャリ感が出ます。諸撚は、代表的な糸で、同じ種類の2本の単糸を撚り合わせて1本の糸にします。糸を細く出来るので滑らかで織物になります。合撚は、異なる種類の糸を三種以上撚り合わせたもの。。。等々、他にも沢山種類があります。

経糸、緯糸の準備が整ったら精錬です。

生糸の束を湯につけてやわらかく練るために、長時間に亘り入念に精錬します。セリシンを取り除く作業です。版画では、大きな鍋にお湯をぐらぐら炊いていますね。昔はこんな感じで作業してたのかなー。

次は糸染め。精錬後の糸をかわかして、その糸を染料の中につけ、何回も染め具合を確認し、色を出します。染めた経糸は整経に入ります。

御召の緯糸はどうかというと、染織が終わると糊付をします。強度を上げるのが目的です。

その後、本撚といって3000回転ほど緯糸に撚りを掛けていきます。これは御召の特徴のひとつです。

大きな機械ですねー。

糸の準備が整ったら、製織です。

可愛い版画だなー。手前のは絣御召ですかねー。

この制作工程というのは、どんな織物でもなかなか理解するのが難しい部分ですね。さて、御召という織物についてこれまで説明してきましたが、ご理解いただけたでしょうか。

矢代仁さんが手掛けた御召は、京都西陣という場で織物の可能性をとことん追求して来た織物だったのかな、と思います。矢代仁さんは今では染物も沢山生産され、様々な種類のきものや帯を扱われているそうですが、御召は矢代仁さんの原点といった織物なんですね。御召の魅力を知る機会となり、勉強になりました!

矢代仁さん、ありがとうございました!

 

あこや

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