御召今昔【矢代仁】を学ぶ−その①– The Study of OMESHI

御召の矢代仁(やしろに)

京都の老舗「矢代仁」さんは、御召を作り続けて今年で創業298年になるメーカーさんです。

これは、反物の端につける矢代仁の商品であるという証書。袴地、男物着尺、そして○○御召と書かれた証書がたくさん!いろんな商品があるのだろうな、と言うのが伺えますね。

皆さんは、御召ってどんなイメージがありますか?実は一言で御召と言っても、全国各地に御召の生産地はあり、更に種類も多様なんですね。なんとなく、サラッとしていて裾さばきが良く動きやすい普段着、単衣向き、なんてあたりが想起されるのではないでしょうか。

今日は、矢代仁の岡本巧さんによる勉強会に出席させて頂きました。御召とは一体どんなものなのか、矢代仁さんのものづくりに対する姿勢や熱意など、非常に情熱的なレクチャーでした。

 

御召ってどんなもの??

まず、御召は縮緬の一種。縮緬はわかりますよね?あのシボがある生地の事です。一種と言っても、親戚、くらいな関係性かもしれません。

かつて、御召縮緬、縞縮緬と呼ばれていた事からもわかるように、生地の表面に縮みシワがあるのが特徴の織物です。この縮みシワを出すのに、緯糸には専用の強撚糸(強く撚りを掛けた糸)を織り込みます。ここからも、縮緬の一種であるという事がわかりますよね。

以前、京都の丹後へ縮緬の勉強に行きましたが(⇒縮緬の旅①−⑦)、撚りを掛けた糸が戻ろうとする力で生地にシボが生まれるのが基本的な縮緬の構造です。御召もシボがあるなら同じじゃんー、と思った方もいると思いますが、違いはどこあるのでしょうか。

 

御召と縮緬の違い

●御召は先練先染(さきねりさきぞめ)、縮緬は後練後染(あとねりあとぞめ)●

練り、というのは精練(せいれん=生糸からセリシンを取り除く)の事。つまり、縮緬は生糸のまま白生地を織ってからセリシンを取り除く精錬をし、その後染めます。一方、御召は、先に精錬した糸を染めてから織っていく織物です。

御召と同じように先練先染には、他に、紬や銘仙等があります。これに由来して、「先染め縮緬」なんて言い方が昔はあったとか。

しかし、御召って名前、なんだか変わっていますよね。

御召の名前の由来は、徳川11代将軍家斉が好んだところから命名された、という説がありますが、厳密には違うのだそうです。お召というのは、お召料(貴人のための衣類の尊称)、召し物を言い、特定の技法の織物を差してはいませんでした。ただ、家斉のお召料に先染め縮緬が含まれ、このきものを愛用され、特別な縞柄は留柄にしたとも伝えられています。ここから御召という名前を使うようになったという事です。

次は、具体的に御召にはどんなものがあるのか見ていきます。

 

つづく。

 

あこや

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