和更紗あそび展 田中敦子さん講演会へ〜その①〜 Atsuko Tanaka WaSarasa lecture

先日、銀座の教文館で、装丁家 熊谷博人さんの「和更紗江戸デザイン帖」の出版記念イベントがありました。


この日は、和更紗あそび展と題し、田中敦子さんの講演会がありました。田中さんは、工芸、きものに精通したフリーの編集者で、和楽の森田空美先生の連載を担当されたり、「七緒」といった雑誌をはじめ、ご自身でも多く着物関連の書籍を出版されていらっしゃいます。

熊谷さんは装丁家ながら、和更紗のコレクションと調査を行い、江戸時代の文様について研究をされている方です。今回、田中さんは和更紗を「きもの」という視点からお話して下さいました。

軽やかな素敵なお召し物でご登場。

講演タイトル「舶来文化ときもの」とあるように、和更紗のルーツは、海外(主にインド)から到来した更紗。異国の風物に憧れていた江戸時代の人たちは、色鮮やかな木綿布の「インド更紗」に興味を引かれました。

会場には、熊谷先生所蔵の貴重なインド更紗が展示されていました。

そう、更紗ってこういうテキスタイルの事を指します。なんだか見た事ありますよね。この更紗のすごいところは、裏面に、東インド会社のスタンプが押されていると言うこと。

このVOCという東インド会社のスタンプが押されたインド更紗はあまり残っていないそうで、大変貴重なものだそうですが、このテキスタイルもインドで生産され、東インド会社を通じて世界へ流通されたものだ、という事が分かります。

私自身、更紗についてはあまり詳しくなく、今回お話が聞けてとても勉強になりました。一部ですが、講演内容をご紹介します。

■きものは、和の要素だけではない

田中さん曰く、実は着物そのものも日本古来のものではなく、大陸から伝わって来たものであり、和更紗も同様、舶来文化の賜物。彼女がきものを着る様になったきっかけは、茶道を習いはじめた事だそうですが、そんな田中さんが、きものを着る様になって、ある本に出会います。それがこちら。


南方熊楠や柳田國男研究で知られる社会学者の鶴見和子先生の「きもの自在」。この中で鶴見先生は、様々なアジアのテキスタイルを帯やきものにして、自分なりのコーディネートを紹介しています。田中さんは、鶴見先生のきものに対する自由さに衝撃を受けたと言います。

「きものって、こんなに自由でいいんだ!」

確かに、着付け教室に通い出したばかりの頃というのは、きものの着方はもちろんの事、季節の装いや格、コーディネート等等、たくさんのルールがありすぎて辟易する時期だと思います。そんな中、この本との出会いは目鱗だったのでしょうね!

次に、田中さんは、京都の染織家 吉岡幸雄先生の染の勉強会に参加されます。そこで「きものというのは、渡来の文化にはじまり、徐々に今の形になっていった」、という事を学び、きものを知るという事は、まさに文化人類学だ!ということに気づかされたと言います。そこから、田中さんのアジアのテキスタイルをきものに取り入れたスタイルだったり、布の蒐集だったりがスタートしていきます。

田中さんも、更紗に関するご本を出版しています。
「インドの更紗手帖」と、


その名も「更紗」です。


どちらも素敵な装丁なご本!田中さんの更紗愛が伝わってくる書籍です。

つづく


あこや

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